平成152003)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

15−共研−9

専門分類

8

研究課題名

論述文の文章構造の研究−論述文を支える文型の確定を目指して−

フリガナ

代表者氏名

ムラタ ミノリ

村田 年

ローマ字

Murata Minori

所属機関

慶應義塾大学

所属部局

国際センター

職  名

助教授

所在地

TEL

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E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果の概要

本研究の最終目標は、日本語教育における論述文の効率的な指導のために、論理
構造を明示する文型の類型化を行うことによって、論述文の文章構造の型を確定し、
体系的な教授法の方法論へつなげることである。
 本研究は、二段階で文型の確定を進めている。第一段階は、統計的手法を用いた
文型の類型化で、第二段階は論理的手法を用いた文章構造の規範化である。
 現在は、第一段階の研究を行っている。すでに5つのジャンルから選んだ文章資
料を対象に分析を行い、論述文のジャンルに特徴的な文型項目をある程度確定して
きた。
 今年度は、従来の結果について、より多くの文章資料を対象として検証を行うた
めに、自然言語処理の手法を用いたプログラムの開発を進め、現在もその途中であ
る。またこれと並行して、論文ジャンルの資料を対象に、論文の大段落(序論、本論、
結論)における文型の使用頻度の調査を始めた。これまで、一文章資料全体におけ
る文型の使用頻度を指標として、各ジャンル間での比較を行ってきたが、次の段階
として、文章構造をより詳細に見ていくために、大段落における文型の使用傾向の特
徴を捉える必要があると考える。今年度は物理学論文資料を対象とした。分析のた
めに用いた指標は、これまでジャンル判別の指標として用いてきた98文型項目(単
文型、文末文型、節末文型のほか複合助詞・接続詞を含む機能文型群30)で、さら
に文型と同様の機能を果たす漢字語彙についても併せて調査を行った。その結果、
3つの大段落を通じて頻度の高い文型項目もあれば、大段落間での頻度に特徴的な
差異を有する項目もあることがわかった。より広い範囲での検証が必要だと考える。
〈論文〉「論文の大段落と文型?物理学論文の場合?」
『日本語と日本語教育』第32号pp19-52