平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−107

専門分類

9

研究課題名

環境データへの多変量解析モデル適用における理論的検討とその応用

フリガナ

代表者氏名

ニッタ ヒロシ

新田 裕史

ローマ字

所属機関

国立環境研究所

所属部局

地域環境研究グループ

職  名

主任研究員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

種々の環境汚染物質の濃度がさまざまな計測手法を用いて測定されている。本研究では、環境データの特殊性と観測値間の相関関係を考慮した分析の方法について理論的に検討し、その結果に基づいて実データの解析を行う。


粒子状物質に関するソース・レセプターモデルは次のように記述できる。粒子状物質が発生源(ソース)から測定点(レセプター)に到達するまでに、粒子の変質による組成の変化がないものとすると、各測定点における粒子状物質濃度は xj=Σαjkgk (1≦j≦p)と表される。ここで、xjは測定点で得られた空気中の元素jの濃度、αjkは発生源k由来の粒子状物質における元素jの濃度、gkは空気中の発生源k由来の粒子状物質の濃度であり、発生源寄与と呼ばれる。また、Mは想定し得る発生源の数、pは測定される元素の数である。
レセプターモデルを用いた解析の第一の目標は、xjが与えられたときに、gkを推定することである。これまでの研究で、従来用いられてきたモデルに関して理論的な検討した結果、測定点の元素濃度の共分散構造に基づく新たなモデルを提案し、パラメータ推定とブートストラップ法を用いた推定値の誤差算出の方法を提示した。本年度はモデルの適用範囲などの検討をさらに加えた。これらのモデルに関する検討に基づき、実データに対してこのモデルを適用して、屋内環境中の粒子状物質の発生源寄与およびその推定誤差に関する検討を行った。その成果をまとめて大気汚染関係の学術雑誌に投稿し、掲載された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

H.Nitta, M.Ichikawa, M.Sato, S.Konishi,and M.Ono:A new approarch based on a covariance structure model to source apportionment of indoor fine particles in Tokyo,Atmospheric Environment,28・4,1994.

新田裕史、小野雅司:都内幹線道路沿岸における家屋内環境 (6)レセプターモデルによる発生源寄与率の推定、第34回大気汚染学会、1993年

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

大気環境科学の分野では、従来から汚染発生源の同定とその寄与割合の推定に「レセプターモデル」が用いられている。これらは、基本的には多変量解析モデルであるが、それを用いた推定結果の誤差の評価等については十分な検討が行われていない。
昨年度は、環境データの複雑な構造を考慮した解析方法について検討を進め、その成果を日本統計学会で発表し、さら環境関係の専門学術誌であるAtmospheric Environmentへの投稿を予定している。本年度はモデルの適用範囲についてより詳細に検討し、各種環境データに応用を試みる。
これらの解析にはブートストラップ法などが有効であると考えられるが、統計数理研究所ではこれらの第一線の研究者を擁し、かつ実際にそれらの手法を実行するための計算機資源も豊富であることから、共同研究により多くの成果が期待できる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市川 雅教

東京外国語大学

小西 貞則

九州大学

佐藤 学

広島大学