平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−72

専門分類

7

研究課題名

鯨類の資源動態の統計学的研究

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

鯨類資源を適切に管理するためには、将来に渡る資源動向の把握と、精度の高い再生産特性値が必要である。本研究では、前年度に引き続き、漁獲物から得られるデータ、特に年齢組成データを用いて鯨類資源の動向と再生産特性値を推定する際に発生する問題点を、人口統計学的手法によって検討し、より適切な資源動態解析法を確立することを目的とする。


本研究の目的は、漁獲物から得られる年齢組成データを用いて鯨類資源の動向と再生産特性値を推定する際に発生する問題点を、人口統計学的手法によって検討し、より適切な資源動態解析法を確立することである。
本年度は、共同研究者と合計4回の会合(92年11月2回、93年1月および3月)をもち、共同研究をすすめた。
具体的には、現実に漁業から得られるデータに含まれる誤差とバイアス、長寿命生物の再生産特性値(とくに自然死亡係数)の年齢依存性や密度依存性の問題、南極海でこれまで収集されてきた年齢組成データの問題点、回遊変動や漁業形態の変化がデータに及ぼす影響、などについて昨年度に引き続き検討し、意見の交換を行なった。
また、1987/88年から実施されている南極海における調査捕獲データから得られる時系列的年齢組成データを分析するベイズ型モデルを開発し、シミュレーション実験を通じてそのモデルの特性について検討を加えた。とくに、調査捕獲における捕獲数の影響について検討した。
これらの話題に関連した結果については、IWC(国際捕鯨委員会)の科学小委員会で発表し、また論文としてもまとめた。モデルの改良やシミュレーション条件の変更などによる実験を今後も継続していく予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・Nakamura, T. : Two-Stage Bayesian Cohort Model for Time-Series Data Obtained from Research Takes of Whales to Reduce a Bias in the Estimate of Mean Natural Mortality Rate, Paper SC/44/SHB7 presented to the IWC Scientific Committee, May 1992. (ISM Research Memorandum, No. 472)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

鯨類資源を適切に管理するためには、資源動向の把握と年毎の加入量を予測することが不可欠である。しかし、現実に漁業から得られるデータには通常かなりのノイズとバイアスが含まれ、また推定された再生産特性値にも長寿命生物特有の年齢依存性が内在し、従来の資源動態の解析は必ずしも満足のいくものではなかった。
これらの問題点の解消には人口統計学に用いられている理論と方法が必要であり、この分野の研究を行っている統数研研究者との共同研究の必要性が生じた。本研究では、主に1971〜87年の間に南極海で捕獲されたミンククジラの年齢組成データを材料に、回遊変動や漁業の変化がデータに及ぼす問題点および特性値の年齢依存性と密度依存性の分離方法を検討する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

粕谷 俊雄

遠洋水産研究所

加藤 秀弘

水産庁 遠洋水産研究所

木白 俊哉

遠洋水産研究所

桜本 和美

東京水産大学

宮下 富夫

遠洋水産研究所