平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−29

専門分類

4

研究課題名

ソフトウエアを用いた統計教育のための基礎研究

フリガナ

代表者氏名

クリハラ コウジ

栗原 孝次

ローマ字

所属機関

岡山大学

所属部局

環境理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ソフトウエアを用いた教育は,言語や情報処理に関する学習者や低学年生を対象にした分野において既に実用化されたものも多い。一方,統計教育のためのソフトウエアは現在のところほとんどない。そこで,本研究では教科書に記述される内容から統計的データ解析の進め方に至るまでの教育に対するソフトウエア構築のための基礎研究を行う。


本研究は、研究集会を中心に進められたが、統計教育の内容およびその具体的教育方法の検討の下、(1)統計推測法および解析法の理論、(2)統計的データ解析、(3)統計的解析法の性質評価、に関する統計教育用ソフトウェアの構築などについて次のような成果があげられた。
(I)統計教育の内容:看護専門学校、高等専門学校、大学における統計学、情報処理教育の現状報告を下に(1)データ解析のツールとしての側面を強化したカリキュラム(2)統計リテラシー(統計グラフの見方、単純集計等)の教育(3)誤用の事例を含むデータ解析の事例による統計解析法の教育、の必要性が報告された。また、統計ソフトウェアとして統計プログラムパッケージ、統計言語の使用に加え、教育対象者の必要性やレベルに応じた表計算ソフトなどの使用も検討された。
(II)統計教育用ソフトウェア:統計教育用ソフトウェアとして(1)統計解析法の理論および専門用語や解析法の説明(2)統計的データ解析を支援するエキスパートシステムや統計コンサルタントシステム(3)与えられたモデル、データと得られた解析結果を通じて統計的解析法の性質の評価を行うための統計計算を支援するシステム、の観点から次のようなソフトウェアの構築を行った。
(1)統計理論教育用のソフトウェアとして、数式のみでは理解が困難な分布の近似や極限定理などを図、表、グラフをディスプレイを通じて表示し、視覚的に理解させる基礎確率・統計のためのソフトウエア(藤崎)、CAIシステム作成にあたりユーザーインターフェイス強化のためにLATeXを採用した線形代数のための汎用学習システム(清、一村、木村)などが作成された。
(2)統計的データ解析を支援するシステムとして、統計ソフトとしてSPSS、データベースにハイパーカードを採用し、Macintosh上に作成されたデータ解析チューターシステム(宇田川)、知識管理にハイパーツールを用いた重回帰分析のためのコンサルテーションシステム(林、垂水)などが試作された。
(3)統計的解析法の性質の評価を行うための統計計算を支援するシステムとして、アルゴリズムの教育をグラフィックを駆使しアニメーションを用いたシステム(水田)、種々の条件の下で統計的推測法の性質を評価可能な知識システム(栗原)、回帰分析の変数選択において種々の現実の条件を考慮可能なシステム(大西)が作成された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)宇田川拓雄、データ解析チュータシステムの開発、北海道教育大学紀要、41-2,1991.
(2)K.Kurihara,Monte Carlo Investigations on Some Statistical Properties Using NISAN System, Theory and Applications in Computational Statistics, Scientist Inc., 257-273,1991.
(1)藤崎恒晏、パソコンで学ぶ基礎確率統計、森北出版、1987.
(1)水田正弘、Shape Polynomials について、日本統計学会、1991.7.
(2)宇田川拓雄、社会科学におけるデータ解析教育、日本計算機統計学会、1991.11.
(3)藤崎恒晏、確率統計教育へのパソコンの利用、日本数学教育学会、1991.8.
(4)栗原考次、ワークステーションにおける統計的推測法の特性評価環境、日本統計学会、1991.7.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.確率変数や母集団の概念,sampling法,推定,検定の考え方など教科書に記述されるような内容についてはそのデータベース化の方法,理解の度合いのチェック方法についてユーザーインターフェイスを考慮して研究を行う。2.統計的データ解析の進め方については分野を絞り,標準的なデータに対してその解析手順の教育方法について研究を行う。3.統計的解法の性質の評価については種々の条件下でflexibleに対応可能であるMonte Carlo法を用いた教育方法についての研究を行う。これらの研究は今後の統計学の底辺拡大に多大に関わるものであり,統計学の発展に大きく寄与すべき統計数理研究との共同研究として進められるべき研究課題である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

宇田川 拓雄

北海道教育大学

大西 治男

筑波大学

清 和由

岡山理科大学大学院

垂水 共之

岡山大学

馬場 康維

統計数理研究所

林 篤裕

大学入試センター

水田 正弘

北海道大学