平成182006)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

18−共研−7

専門分類

8

研究課題名

文章のジャンル判別に寄与する指標としての文型・語句の研究

フリガナ

代表者氏名

ムラタ ミノリ

村田 年

ローマ字

Murata Minori

所属機関

慶應義塾大学

所属部局

国際センター

職  名

教授

所在地

TEL

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E-mail

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研究目的と成果の概要

本研究の最終目標は、文章のジャンル判別に有効な指標としての文型ならびに語句が存在することを実証的に明らかにし、その成果を専門日本語教育における論述文の体系的かつ効率的な指導に結びつけることである。
申請者は、これまで専門分野の論文や大学教科書を中心に論述文の文章構造を支える文型群の確定を行い、それらを指標とした文章のジャンル判別の可能性を実証的に検証することによって、同一ジャンルの文章に共通する表現形式が存在することを明らかにしてきた。専門分野に進む外国人学習者がこのような表現形式を学習段階の早い時期から学習することにより、論文の読解・作成能力を短期間に養成することが可能になると考えられる。
本研究では、従来の研究において残された課題を見直し、文章資料を新たに増やして文章コーパスを拡充して7ジャンル370編にするとともに、指標としての文型についても再検討を行い、指標項目を110文型とした。この370編における110文型項目の使用頻度を調査し、さらに110文型項目のうち、その半数以上に当たる接続語句・助詞相当句65語句について多変量解析を用いて分析を行った。その結果、判別分析については従来の結果を裏付ける結果が得られた。また、4つの分野の論文と経済学入門書を対象に、論述文の文脈展開に重要だと考えられる3つの要素「並列(・同列)」「対比(・対立)」「因果(・呼応)」について調べたところ、論理が非明示的だと考えられる新聞社説ならびに小説ジャンルと、使用傾向の差異が明確なのは、「並列」では定義表現「〜とは」「〜というのは」、言い換え表現「すなわち」「つまり」、例示表現「たとえば」、「対立」では「〜のに対して」「一方」、「因果」では「〜によって/によるN<理由>」「〜ため[に]<理由>」「したがって」「〜[た]結果/Nの結果」という語句であることがわかった。
 
<論文>
1.学位論文(2006年度)慶應義塾大学文学研究科
村田年「論述文の文脈展開を支える文型の計量分析とその日本語教育への応用」
 2.村田年(2007.3)「文章と文型7-文学作品資料の再編と文型の見直しに基づく再調査-」『日本語と日本語教育』21-45, vol.35, 2007