平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2043

専門分類

7

研究課題名

医薬剤の市販後疫学調査等と行政判断

フリガナ

代表者氏名

ツダ トシヒデ

津田 敏秀

ローマ字

 Tsuda Toshihide

所属機関

岡山大学

所属部局

大学院医歯学総合研究科社会環境生命科学専攻

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医薬剤の市販後の再評価においては,食中毒事件発生時と同様,できるだけ迅速で正確な疫学調査が
必要である。最近米国において塩酸フェノールプロパニールアミンPPA含有医薬品の再評価がなされ使
用中止となった。そこでは症例対照研究の結果が重要な判断材料となっている。これらの研究方法論は,
重金属や化学物質の職場や環境中での規制や食中毒・感染症による健康被害の因果推論にも同様に疫学
調査結果が行政判断の重要な知見に使われている。社会において判断が求められるがゆえに,社会的関
心の高い個々の事例において因果推論における疫学研究の役割・位置づけとその知見が行政判断にどの
ように生かされるのかを研究し,疫学的にどのような課題があるか,なぜそれが問題か,疫学的に不足
している点,疫学的に重要と思われる点など論点を整理することは今後の疫学研究の方向づけや行政的
判断の際に役立つ。
 個々の事例では,観察研究のデザインや症例の定義,調査対象の適格性の評価,選択バイアス,情報
バイアス,交絡バイアスの方向性とその定量的評価,統計モデルの選択と母数推定と精度評価等の内的
妥当性を検討し,統計的諸問題を論じる。多くの研究結果を総合的に定量的に評価するメタアナリシス
や因果推論を含め,これらの結果の外的妥当性が行政判断には重要な要因となっていると考えられる
が,行政判断のプロセスを検討し,そこでの疫学的知見の評価について考察する。
 情報公開の社会的要請とIT情報技術の進歩によって疫学研究情報が瞬時に,また世界的なデータベ
ースとして共有される時代を迎える中で情報化社会における疫学研究が与える社会的な影響度,行政判
断への貢献度についても考察を行う。
 PPAを含め内外の医薬品の市販後再評価についてはいくつかの事例研究の検討を行ってきた。今回,
本格的に研究を共同して行いたい。関連する疫学研究の分野では,水銀中毒についての疫学研究と行政
対応について一連の論文を発表している。医学における因果関係の推論?疫学での歴史的流れ?,日本
衛生学会誌51(1996),558-568。続医学における因果関係の推論?「阿賀野川流域における水俣病の
発生動態?暴露の実態と患者の認定」に関するコメント,日本衛生学会誌52(1997),511-526。水俣病
の40年目の[解決]に根拠を与えた2論文、環境と公害26(1997),48-55。我が国の社会医学における
因果関係論の構築を目指して日本衛生学雑誌55(2000),462-473。医学における因果関係の推論?意思
決定?産業衛生学雑誌43(2001),161-173。粉塵曝露被害についてはメタアナリシスを行った論文:A
meta-analysis on the relationship between pneumoconiosis and lung cancer.J.Occupational Health
39(1997),285-294や岡山県における事例研究:An epidemiological study on silica,silicosis,and
lung cancer in the south east of Okayama prefecture,Japan.Advances in the Prevention of
Occupational Respiratory Diseases 211-215,Elsevier.を発表している。情報バイアス・交絡バイ
アスとその定量的評価や制御については,解説的な内容を著書「今日の疫学」医学書院1996や,九州大
学健康科学センターの紀要:集団を対象とした観察研究におけるバイアス,健康科学17(1995),35-42
に発表している。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大瀧 慈

広島大学

佐藤 俊哉

京都大学

中瀬 克巳

岡山市中央保健所

馬場園 明

九州大学

藤澤 洋徳

統計数理研究所

柳本 武美

統計数理研究所

山本 英二

岡山理科大学