平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−45

専門分類

5

研究課題名

非球粒子による空間的ランダム密構造のシミュレーション

フリガナ

代表者氏名

タネムラ マサハル

種村 正美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

代表者は従来、球対称性をもつ対象(点、円、球など)の空間パターンの統計を扱ってきた。その前提には実際に見られるパターンが球対称粒子の集団として良く近似できるという仮定があった。対象が非球粒子であっても、密度がある程度低い場合には、この仮定は近似的に成立する。しかし、密度が高くなって、粒子同士が接触し合う状況では、粒子の固有の形が空間パターンに反映されるはずである。本研究は非球粒子のランダム密構造をシミュレーションによって調べる事が目的である。


現実に見られる空間パターンは、かたちをもった対象からできている。しかも、その多くは互いに重ならない対象から成っており、生物組織や金属材料などにおいては、空間的にランダムで密な構造をもっている。そのような空間パターンの統計モデルを構成するために通常行われるのは、対象が球対称性を持つことを前提にして記述される。しかるに、自然界に見られる対象(粒子と略称)は大抵、球対称性を持たない。つまり、非球粒子である。
本研究では、球対称性を持たない粒子系の空間的ランダム密構造の空間配置の研究を、計算機シミュレーションを通じて行うことが目的である。今年度は、主として、ランダム充填のシミュレーションとその構造解析を中心に研究を行った。非球粒子として考察したのは、長方形および楕円である。これらはそれぞれ典型的な非球粒子であって、方向性と形の可変性を備えているからである。
これらのランダム充填のモンテカルロシミュレーションを行うために、球対称粒子の場合とは異なり、複雑な幾何学条件を計算プログラムに取り入れなければならない。我々はそのための新しい工夫をして、効率の良いシミュレーションを行うことができた。
シミュレーションの結果、形のアスペクト比の様々な値に対して最大充填密度があまり変化せず、ほぼ5割程度になることを見いだした。また今年度は、長方形や楕円の粒子系のマルコフ連鎖モンテカルロ法のシミュレーションのための準備をした。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

種村正美:「剛体非球粒子系のモンテカルロ法について」統数研研究会 1995.01.23
種村正美:「非球粒子系のモンテカルロ法」統数研平成6年度研究報告会 1995.03.16

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

代表者は、上記の通り球対称粒子の空間パターンの統計の問題を主として計算機シミュレーションを用いて研究してきた。一方、共同研究者は計算機物理学の分野で、球対称粒子の集団に限らず、非球対称粒子の物理系にも興味をもって研究を進めてきている。「研究目的」の達成のためには両者が共同して研究を実施する必要がある。また、計算機シミュレーションの実行のために、統計数理研究所の電子計算機資源の利用が不可欠である。
本研究は次のような計画で遂行する。(1)非球粒子として、平面上では正方形・長方形・三角形・楕円など、3次元空間では、立方体・直方体・四面体・楕円体などを考える。(2)計算の方法はモンテカルロ法、分子動力学法を用いる。(3)各々の対象粒子は重なりを許さない剛体粒子と見なして、シミュレーションのプログラムを作成する。(4)各々の対象粒子系に対する計算機シミュレーションを高密度領域で実行する。(5)計算結果のデータを解析して、それぞれの特徴量を求める。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 顯

京都大学