平成212009)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

21−共研−5011

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

8

研究課題名

医用診断のための応用統計数理の新展開

フリガナ

代表者氏名

コンノ ヒデトシ

金野 秀敏

ローマ字

KONNO HIDETOSHI

所属機関

国立大学法人筑波大学

所属部局

大学院システム情報工学研究科リスク工学専攻

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

18 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医用診断技術の発展は目覚ましいものがある。 CT, MRI,fMRIなど高速・高画質化が進んでおり,付随した画像処理技術も発展してきている。しかし、画像処理の発展のみで詳細な診断可能でない機能診断などでは依然として様々な困難がある。生体は複雑な非均質な組織であり、カオス、ソリトン、フラクタルなどの単純なパラダイムでは捉えきれない自由度の大きなシステムである。そこで計測される各種データは時空相関(従属性)のある非線形、非定常、非均質なものになっている。
脳機能診断では、自発脳波や自発脳磁気を使った診断から、光刺激や聴覚刺激などの外部刺激を使った診断法などの盛んに用いられるようになってきている。光刺激やノイズ刺激を用いた診断や治療も行われるようになってきている。また、光トポグラフイー等の光を用いた診断技術も発展してきている。しかし、解析方法や結果の解釈には依然として様々な問題点や疑問点が数多く残されている。
これらの問題を解決するためには、医者と数理解析者が互いに交流し、問題点を共有することから始める必要がある。本研究では、臨床の状況を良く把握した医者と実データ解析を経験した数理解析者の交流の場を設けて「問題点や疑問点を徹底討論する」ことによって、新しい応用統計数理解析手法開発のための提案を行い、臨床応用への方向性を探ることを目的とする。

研究集会のプログラムは下記のとおりである。
         医用診断のための応用統計数理の新展開
        開催日 2009年12月3日(木)、4日(金)
        開催場所 統計数理研究所第5セミナー室(立川)
12月3日
セッション1  脳機能診断(I)
(1) 近赤外線スペクトルスコピー:useful tool or expensive toy?
         星 詳子 (東京都精神医学総合研)
(2) 基調講演:光トポグラフイーによる脳機能診断の現状
         牧 敦(日立基礎研)
セッション2 脳機能診断(II)
(3) 基調講演:多モダリテイー視覚刺激による脳機能推定と臨床応用の現状
         飛松省三(九州大学医学研究院)
(4) 脳信号データの時空間解析
?てんかん患者の睡眠脳波解析とラット脳幹の賦活部位検出?
         三分一 史和 (統計数理研究所)
(5) 基調講演:脳磁計(MEG)による認知症診断の現状と展望
         樋口 正法(金沢工大先端電子研)
セッション3 医用診断への応用トピックス
(6) 多変量ARモデルによる脳血流データの記述
      大浦邦彦(国士舘大学健康医学系)
(7) ベイズ季節変動調整法で前処理した光駆動脳波の独立成分解析
       金野秀敏、神部克仁(筑波大)、岸田邦治(岐阜大)、飛松省三(九大)
(8) 光刺激下の脳の非線形応答モデル ?実験との対応関係?
        金野秀敏(筑波大)、飛松省三(九大)
12月4日
セッション4 心臓疾患と機能診断の統計数理(I)
(9) 心電図波形の非線形時系列解析による人間状態評価
       鈴木章夫 (産総研)
(10) 基調講演:指先脈波の理論解析の現状
       清水敏寛(国士舘大学健康医学系)
(11) 基調講演:非ガウス統計の心拍変動解析への応用
      清野健 (日本大学工学部)
セッション5 心臓疾患と機能診断の統計数理(II)
(12) 基調講演:心拍のゆらぎ解析:医学・医療への応用
      早野順一郎 (名古屋市立大学医学研究科)
(13) 興奮性心筋運動のベクトル場表示による特徴付
       戸次 直明  (日本大学工学部)
セッション6 心臓疾患と機能診断の統計数理(III)
(14) 基調講演:不整脈現象解明のための心臓モデリングと興奮伝播シミュレーション
      中沢一雄 (国立循環器病センター)
(15) Aliev-Panfilovモデルの頻脈/心室細動時のリアプノフ指数の時空変動
  原田礼朗、金野秀敏 (筑波大)

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1) 統計数理研究所共同研究リポート242
 医用診断のための応用統計数理の新展開、2010年3月 統計数理研究所

(2)H. Konno, On the Exact Solution of A Generalized Polya Process, (2010) preprint

(3)H. Konno, K. Kanbe, K. Kishida and S. Tobimatsu, Blind Signal Separation of Nonlinear Signals Generated by Numerical Simulations of Spontaneous and Visual-Evoked EEG, (2010)
preprint

(4)N. Bekki, Bekki-Nozaki hole solution of the Complex Ginzburg-Landau equation, preprint

(5)牧敦ほか、近赤外分光法から光トポグラフィ法への展開と展望、J Jpn Coll Angiol, 2009, 49: pp. 121-130.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大浦 邦彦

国士舘大学

神部 克仁

筑波大学

岸田 邦治

岐阜大学

清野 健

日本大学

清水 敏寛

国士舘大学

鈴木 章夫

産業技術総合研究所

鈴木 良次

金沢工業大学

田村 義保

情報システム研究機構 統計数理研究所

飛松 省三

国立大学法人九州大学

中沢 一雄 

国立循環器病センター

早野 順一郎

名古屋市立大学

原田 礼朗

筑波大学

樋口 正法

金沢工業大学

戸次 直明

日本大学

星 詳子

東京都精神医学総合研究所

牧 敦

(株)日立製作所

三分一 史和

統計数理研究所