平成252013)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

25−共研−1015

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

「2010年格差と社会意識についての全国調査」データの共同利用による成果発信

フリガナ

代表者氏名

マエダ タダヒコ

前田 忠彦

ローマ字

Maeda Tadahiko

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 2010年に統計数理研究所が大阪大学大学院人間科学研究科の協力の下で実施した「2010年格差と社会意識についての全国調査」(以下SSP-I2010調査)は,当初からデータの共同利用を意図して計画された。この調査は,現代日本における不平等や格差に関する人々の意識(階層意識)あるいはそれに関連する社会意識をテーマとしており,面接法により実施された有効回収サンプル1763の中規模全国社会調査である。
 2011年度と2012年度には重点テーマ「社会調査関連資源の利活用」の下にそれぞれ6件の共同利用研究課題を申請し,各課題に合わせたテーマによってSSP-I2010調査および関連調査のデータの分析を進め,成果の発表を開始した。
 本課題は,その分析成果の継続的発信を目指して,引き続きSSP-I2010調査のデータの共同利用の機会を提供するために設定したものであり,各分担者が自由な創意の元にこのデータ及び関連調査のデータ等を分析,公表する。
 既に,この調査結果および他の関連調査の成果を生かす形で,2015年1月〜3月の実施をめざし,「格差と社会意識」をテーマとするより大規模な調査研究を行うことが計画され,そのための科学研究費(基盤研究S:代表吉川 徹)のプロジェクトも稼働して第3年度を迎えた。
 関連する研究として,統計数理研究所の平成25年度共同利用研究課題中,次のものとは緊密な連携関係にある。いずれの課題も,SSP-I2010データの解析あるいはその成果を踏まえた次の調査研究の準備・項目開発・調査設計などの改善を目指した研究となっている。
25-共研-1014「準拠集団と相対的剥奪の社会調査研究」研究代表 浜田 宏(東北大学大学院・准教授)
25-共研-1040「都市度尺度としての人口ポテンシャルの再検討」研究代表 赤枝 尚樹(関西大学・助教)
25-共研-2033「個別訪問面接調査の新技法の開発」研究代表 吉川 徹(大阪大学・准教授)
25-共研-2036「インターネット予備調査を利用した新しい階層意識の研究」研究代表 轟 亮(金沢大学・教授)
 これらの共同利用研究,あるいは別途予算を取得した科研費,階層意識研究をテーマとする他の研究プロジェクト等と共に,本研究課題も,「SSPプロジェクト」と呼ばれる社会調査法を基本的な研究手段としたより大きな研究プロジェクトを形成している。
 SSP-I2010調査データの解析による成果発信はひとまずピークを越えたことから,今後も何人かのメンバーは分析・発信は続けるものの,統計数理研究所の共同利用研究の枠内での活動は平成25年度で終了する見込みである。しかし,SSPプロジェクト自体は,2015年の第1回SSP調査と呼ばれる大規模調査を核とした研究のために,今後も継続する予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 本研究は,総勢48名の参加を得て,各人はそれぞれが何らかの形でSSP-I2010調査を利用して研究を行っている。そこからは既に多数の成果が上がっているが,本項では,研究代表者が直接に関わる形のものと,代表的なものに絞って紹介する。
 SSP-I2010調査の調査不能バイアスの補正をテーマとして,次の研究成果を公表した:
【論文1】
Fushiki, T. & Maeda, T. (2014) "Non-response Adjustments for Estimates of Proportions in the 2010 Survey on Staratification and Social Psychology", Behaviormetrika, Vol.41, No.1
 また,SSP-I2010調査は全国で250の調査地点での調査が展開された。調査地点の特性も対象者の回答行動等に影響を与えることが分かっているが,地点の特性特に「都市度」をどのような変数によって測定するかという問題についての検討を次の論文で検討し,また標本設計時の地点異質性の尺度との比較も理論的に興味深い課題であることを指摘した。
【論文2】
赤枝尚樹・前田忠彦 (2014) 「都市度尺度としての人口ポテンシャルの再検討」 『関西大学社会学部紀要』第45巻2号, 249-265.
 なおSSPプロジェクトの全貌については,下記のページから情報発信を行っている。プロジェクトの成果も当該ページで参照可能なように公表準備中である。
「SSPプロジェクト 総格差社会日本を読み解く調査科学」
http://ssp.hus.osaka-u.ac.jp/







研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本課題そのものとしての開催ではないが,下記の統計数理研究所平成25年度共同利用研究としては,本課題と関連の深い下記の2課題が共同で,統計数理研究所内において研究会を開催した。
 関連メンバーが参加し,成果発表と討論,および今後企画される調査についての情報交換を行った。
25-共研-2033「個別訪問面接調査の新技法の開発」研究代表 吉川 徹(大阪大学・准教授)
25-共研-2036「インターネット予備調査を利用した新しい階層意識の研究」研究代表 轟 亮(金沢大学・教授)

SSPプロジェクト2013年度第1回研究会・第3回拡大幹事会
(2013年度統数研共同利用研究,25-共研-2033,25-共研-2036合同研究会)
 日 時:2013年9月14日(土)13:30〜9月15日(日)13:00
 場 所:統計数理研究所 第5セミナー室(3F)
 参加者数:25名


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

赤枝 尚樹

関西大学

石田 淳

大阪経済大学

伊藤 理史

大阪大学大学院

乾 順子

大阪大学

岩瀬 晋

慶応義塾大学

尾崎 幸謙

筑波大学

歸山 亜紀

金沢大学

金澤 悠介

立教大学

川端 亮

大阪大学

神林 博史

東北学院大学

吉川 徹

大阪大学

久山 健太

大阪大学大学院人間科学研究科

小林 盾

成蹊大学

小林 大祐

仁愛大学

小堀 真

日本大学

阪口 祐介

桃山学院大学

佐藤 嘉倫

東北大学

塩谷 芳也

日本学術振興会(大阪大学大学院)

芝井 清久

統計数理研究所

菅野 剛

日本大学

数土 直紀

学習院大学

高田 洋

札幌学院大学

高松 里江

同志社大学

谷岡 謙

大阪大学

轟 亮

金沢大学

内藤 準

首都大学東京

中井 美樹

立命館大学

中村 高康

東京大学

永吉 希久子

東北大学

狭間 諒多朗

大阪大学

橋爪 裕人

大阪大学

浜田 宏

東北大学大学院

林 真広

大阪大学大学院

樋口 麻里

大阪大学

平澤 和司

北海道大学

藤原 翔

大阪大学

ホメリッヒ カローラ

ドイツ日本研究所

本庄 かおり

大阪大学

前田 豊

東北大学大学院

松谷 満

中京大学

松橋 達矢

日本大学

三谷 はるよ

大阪大学

村瀬 洋一

立教大学

山下 絢

日本女子大学

横井 桃子

大阪大学

吉岡 洋介

大阪大学

米田 幸弘

和光大学

李 容玲

大阪大学

渡邊 勉

関西学院大学