平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−109

専門分類

7

研究課題名

癌の増殖拡散モデルと手術範囲決定への応用

フリガナ

代表者氏名

イマヤマ シュウヘイ

今山 修平

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

医学部

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 癌の最も確実な治療は切除・摘出である。しかし(例えば,乳癌の切除範囲が見直されて縮小されつつあるように)手術の範囲については今なお決定的な根拠を持たないのが現実である。
 一般に,広範囲の手術により癌の治癒率は上昇するものの,一定以上に広く切除しても治癒率はさほど上昇しなくなることから,癌の拡大にも(時期に応じた)何らかの法則があると思われる。すなわち癌細胞がどこまで存在するかどうかを予測することができれば,各症例毎に最適な手術範囲を決定できる筈である。


癌の最も確実な治療は切除・摘出である。しかし(たとえば、乳癌の切除範囲が見直されつつあるように)手術の範囲については今なお決定的な根拠を持たないのが現実である。
一般に、広範囲の手術により癌の治癒率は上昇するものの、一定以上に広く切除しても治癒率はさほど上昇しなくなることから、癌の拡大にも(時期に応じた)何らかの法則があると思われる。すなわち癌細胞がどこまで存在するかどうかを予測することができれば、各症例毎に最適な手術範囲を決定できる筈である。
そこで周囲に拡大・増殖する様子を比較的容易に観察できる皮膚癌を材料に、癌細胞の増殖モデルを作成し、実際の手術(顕微鏡)所見と比較検討することにより、モデルの尤度を検討する研究から開始した。
本検討の基礎として本年度は、癌細胞が実際に増殖する場となる表皮の動態を検討した。なぜならば表皮は恒常的に垢となって脱落を繰り返しながらも一定の形態を保つという意味で、これもまた一種の拡散モデルでもあるからである。この点については本多久夫によりJ Invest Dermatolに報告された。これをもとに以降は、種々の皮膚癌における癌細胞の増殖モデルを作成し、これらの成果を元に、他の皮膚癌へと応用範囲を広げる予定である。
本研究の成果から将来、癌の種類に応じた最小範囲かつ必要充分な手術範囲が決定されるようになると期待される。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Honda H,Tanemura M,Imayama S.:Spontaneous architectual organization of mammalian epidermis from random cell packing. J Invest Dermatol 106: 312-315,1996


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 そこで周囲に拡大・増殖する様子を比較的容易に観察できる皮膚癌を材料に,癌細胞の増殖モデルを作成し,実際の手術(顕微鏡)所見と比較検討することにより,モデルの尤度を検討する。
 すでに私達は,Paget病という皮膚癌における癌細胞の増殖モデルを作成し,病理組織学的に検討したが,その結果,この癌の拡大には拡散モデルが適応できることを示した。(Shimizu et al. in
preparation)。本年度以降は,これらの成果を元に,他の皮膚癌
へと応用範囲を広げる予定である。
 本研究の成果から将来,癌の種類に応じた最小範囲かつ必要充分な手術範囲が決定されるようになると期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所

本多 久夫

兵庫大学