平成292017)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

29−共研−2064

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

8

研究課題名

距離依存集約による森林資源管理のための離散最適化モデル構築

フリガナ

代表者氏名

ヨシモト アツシ

吉本 敦

ローマ字

Yoshimoto Atsushi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

82千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 近年、森林の管理放棄あるいは、手入れ不足により、これらの多面的機能の低下が懸念されている。管理放棄や手入れ不足が起こる原因としては、小規模分散的な森林所有形態、路網整備の遅れ等が挙げられる。そこで、現在、地域の林業事業体等が中心となり、これら林地の所有者をとりまとめ、路網作設や間伐等を一括して実施する施業の集約化が望まれている。
 これまでの集約化では皆伐を想定し、集約される林分群に対する許容総面積が集約の制約(Opening size constraint)となり、最適な林分群の組み合わせが探求されてきた。しかしながら、ヨーロッパの傘伐や日本での間伐などでは皆伐を想定した集約化は適しておらず、むしろ除伐・間伐と言った施業の効率を追求するための集約化が求められている。すなわち、集約化される林分群において施業を実施する林分間の距離が全体の施業効率に大きく影響するため、より効率的な集約化においては許容総面積のみならず、集約化される林分間の距離を重視した集約化が求められている。本研究では、許容総面積制約による集約化に加え、林分間の距離制約も考慮できる森林資源管理のための離散最適化モデルを構築することを目的とした。
 まず、対象となる林分群に対し、林分の隣接関係をネットワークで表現する。その際、林分をノード、隣接をアークとする。許容総面積制約については、構築されるネットワークに架空のスーパーノードを導入し、すべての林分から隣接するものとする。次に、林分の面積を各ノードへのフローと捉え、ネットワークを経由して最終的にスーパーノードに到達するものとし、各ノードからスーパーノードへのフローに対する上限を設けることにより、許容総面積制約を満たす制約式を構築することができる。すなわち、最大フロー問題により集約制約を満たす実行可能解を探求することができることが分かった。
 林分間の距離制約については、まず距離条件を満たす林分同士の隣接(距離依存隣接)を考慮し、隣接林分群から生成される集約を考える。その時、隣接林分群内のある林分に集約される場合、集約される隣接林分に対して他の林分からの集約を許容しなければ、距離制約を満たす林分の集約を達成することができることが分かった。
 従って、最大フロー問題を用いて、距離依存隣接を用いたフローネットワークを設定し、スーパーノードへの各ノードからの面積フローに対し、面積上限を課してやれば、許容総面積制約および距離制約を満たす林分の集約化が達成できることが分かった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
Optimal Forest Stand Aggregation and Harvest Scheduling Using Compactly Formulated Integer Programming
Atsushi Yoshimoto, Patrick Asante, Masashi Konoshima, FORMATH, 16, 22-31, doi: 10.15684/formath.16.003, 2017.

学会発表
A. Yoshimoto, Integer programming approach for nonlinear spatially-constrained land use allocation under pollination services : 2017年8月30日:韓国
加茂憲一, 冨田哲治, 吉本敦. 統計学からみた森林におけるリスク管理, 日本森林学会大会:2018年3月26-29日(発表27日:口演):高知

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会は開催していない

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊高 静

統計数理研究所

加茂 憲一

札幌医科大学

木島 真志

琉球大学

冨田 哲治

県立広島大学