平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2002

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

1

研究課題名

空間の分割および関連する統計的諸問題の研究

フリガナ

代表者氏名

イソカワ ユキナオ

磯川 幸直

ローマ字

ISOKAWA YUKINAO

所属機関

鹿児島大学

所属部局

教育学部数学科

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

80千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

(1) Random Crease Patternの研究
一枚の紙を手の中で握りつぶし、それを再び開くと、そこにはランダムに付けられたとしか考えられないような、山折線と谷折り線の複雑なパターンを見ることができる。この現象に関しては、これまで物理学者により、外力が与えられた紙の弾性変形の問題として研究されてきた。そして、弾性理論の問題として扱うのであるから、主要な研究道具は必然的に偏微分方程式となる。しかし、この変形は明らかに塑性変形の領域に属しているので、偏微分方程式の解から、山折線と谷折り線のパターンに関する情報は得ることができないと考えられる。そこで本研究では、物理現象からいったん離れて、数学的にどのようなパターンが可能であるかを調べた。研究の土台とした仮定は、「折り紙」の幾何学でよく知られている「局所的平織り可能性」である。これは節点(折り線の交点)における、山折線と谷折り線のパターンに対する制約条件を与える。さらに問題の本質を明らかにするために、平面に3角形格子を描き、山折線と谷折り線はその格子の3方向の軸上に限定した。このとき、3角形格子(の有限領域)のすべての格子点を節点とするようなパターンが無数に可能であることが証明できた。一方、より物理的に現実性をもたせるために、3角形格子の制約がない場合のシミュレーションを行った。この場合、折り線が進行する過程は、意外にも空間の Johnson-Mehl 分割に類似していることがわかった。
(2) 球面上のランダム関数の研究
球面を球帽によりrandom covering する問題に示唆されて、球面上のランダム関数の研究を開始した。最も単純な場合、2次元球面上で、ランダムで「ない」関数 f (たとえば帽の球定義関数)を考え、つぎにそれを球面上でランダムに移動する。このとき、たとえば球面上に2つの定点 a, bをとり、それらの点における関数値を考えれば、2次元のランダムベクトル (Ya, Yb) が定義できる。このランダムベクトルの2変量確率分布の数学的性質を調べることを目的とする。現在までに得られた結果は、ひとつは分布関数の解析的に明示的な表現である。この結果は、1次元の確率分布が与えられたときに、それを周辺分布としてもつような2変量確率分布(のひとつを)を具体的に構成する新しい方法を与えている。さらに、2変量確率分布の共分散の明示的な表現を、周辺分布がある特殊な分布の場合に与えた(そのひとつは楕円積分と関係している点が、解析的には興味深い)。この研究は、一般次元の球面の場合に継続する計画である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)Y.Isokawa “A model of Random Creases”, ISM Symposium on Stochastic Models and Discrete Geometry, March 2008.
(2)Y.Isokawa “A model of Random Creases”, preprint
(3)Y.Isokawa “Bivariate Probability Distribution on 2-dimensional Sphere”, preprint

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所