平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−32

専門分類

3

研究課題名

多次元ARモデルによる小児の左右大脳半球機能分化の発達特性に関する研究

フリガナ

代表者氏名

オガワ テルユキ

小川 昭之

ローマ字

所属機関

重症心身障害児施設「恵の聖母の家」

所属部局

職  名

園長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ARDOCK(石黒)や大脳誘発電位の要素波解析を用いて、ヒトの左右大脳半球機能分化の発達特性を知る。


[目的]:脳波は、各導出部位が互いに密接な関係を保ちながら変動しているが、各部位間の信号の流れについては明らかにされていない。そこで、多次元自己回帰モデルを応用して左右大脳半球間を離断したシミュレーション脳波を作り、離断前後での変化を数理統計学的に検討することによって、左右大脳半球間の信号の流れとその発達の一端を追求しようとした。
[対象および方法]:3〜12歳各35〜40名の健康正常小児計374名を対象とした。これらの対象例を、安静覚醒閉眼時に仰臥位で、脳波を国際電極配置法10−20法に従いFp1,Fp2,C3,C4,O1,O2より両耳朶を不関電極として単極導出し、このアナログデータをPanafacom U−1200(富士通)を用いてAD変換して、サンプリング間隔20ms、512個の離散時系列を得た。これらに多次元自己回帰解析を行い、左右大脳半球間離断シミュレーション脳波を作った。その後、原波形とシミュレーション波形に多変量解析を応用したパターン識別(佐藤、小野)を施し、マハラノビスの距離からF距離を求め、その発達変化を、全帯域、および、δ・θ・α・βの各周波数帯域別に比較検討した。
[結果]:4・8・12歳の各々の右前頭極部において、全帯域でシミュレーションの前後で有意差を認めた。また、左前頭極部で4・12歳のα波帯域でシミュレーション前後での変化のピークが見られ、両側中心部では7〜8歳のθ・α波帯域で変化を認めた。後頭部は左右ともに全年齢において、変化が乏しかった。
[結論]:これまで、小児における脳の脳波学的、解剖学的な発達速度のピークは7歳と11〜12歳にあると言われており、今回の結果はさらにそれを裏付けるものとなった。また、θ波からα波優位となる7〜9歳では中心部でも変化のピークを認めた。このことから、大脳半球間の信号の流れが脳波学的な発達に関与していることが伺われた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

佐藤圭右,多次元自己回帰モデルによる小児脳障害脳波のシミュレーションとその発達変化に関する研究。日本小児科学会,1993年4月24日
佐藤圭右,多次元自己回帰モデルによる小児の左右大脳半球機能の分化に関する研究?正常小児の発達特性?,日本小児神経学会,1993年6月19日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.ARDOCK(石黒)を用いて、12チャンネル脳波記録間のインパルス意答を求め、発達に伴う変化を知る。
2.1の成績を基礎として、てんかん患児の左右大脳半球機能分化から小児の脳梁の機能的役割を知る。
3.線形入出力モデルによる各種大脳誘発電位のインパルス意答の要素波解析所見から左右大脳半球機能分化の発達特性を知る。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

後藤 一也

大分医科大学

佐藤 圭右

大分医科大学

園田 浩富

大分医科大学

若山 幸一

大分医科大学大学院

和田 雅臣

大分医科大学大学院