平成242012)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

24−共研−1026

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

M-decomposability and Elliptical Unimodal Densities

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

Nakano Junji

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 われわれは、確率密度関数の形状に関して、対称単峰分布の混合を用いる M-decomposability という概念を提案した。これは1変量分布の場合は、その分布の標準偏差と、それを2つ以上の分布の混合分布で表現したときのそれぞれの分布の標準偏差の和を比較し、前者が後者より大きければ M-decomposable であるとするものである。また、対称単峰分布は平均が同一の一様分布の混合分布で漸近的に近似できることも示し、その構成より、一様分布のひとつの特長付けも行った。また、この手法が、核関数による密度関数推定などに利用できることも示した。多変量の場合にも適用でき、この結果がクラスター解析や統計的学習法に応用出来ることを示した。
 M-decomposableである分布のうち、尖度(4次)以上の高次モーメントが小さいものが多い。そして、高次モーメントと低次モーメントがある条件を満たせばその元の分布はM-decomposableであることがわかった。その結果をより厳密に拡張すればM-decomposabilityの十分条件を見つけることによって、クラスター解析や学習法にも役立つと思われる。
 1変量分布の場合、標準偏差をバラツキの尺度として使用されることが普通だが、それは確率分布のL2ノルム空間に相当する定義である。本年度は、バラツキをより一般的にLpノルムに拡張していても、M-decomposabilityの結果がそのまま適用できることを証明した。この結果は、M-decomposabilityはバラツキの定義に関して頑健性があることを示している。
 さらに、多変量分布はM-decomposable であるかどうかを判定する時、その多変量分布の各々の変量周辺分布のうち、一つでもM-decomposable なものが存在すれば十分条件が満たされていることを示した。その結果は、変量数がデータ数を上回る場合の分析にも利用できることが期待される。
  非対称単峰分布について、特殊な例外を除けばほとんどの場合はM-undecomposableであることが判明された。それにより、M-undecomposableな分布の集合が対称なものだけではなくてより一般的な単峰分布に適用でき、応用の範囲がより広くなる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

現在、論文執筆中

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究打ち合わせ(2人)は行ったが、研究会は開催していない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

謝 剛強

野村證券株式会社