昭和601985)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

60−共研−62

専門分類

8

研究課題名

社会的ジレンマの数理的研究法に関する研究会

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

15 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

環境・資源問題や公共財問題に代表される社会的ジレンマの研究は,問題の広範性と研究の社会的意義の認知と合いまって,社会心理学や社会学において市民権を得るに至った。その研究法も,モデル構成,ゲーム実験,シミュレーション,事例研究など,多岐にわたる。社会的ジレンマ研究は今や新たな展開を示すべき時期に差しかかったと言うべきである。
しかし社会的ジレンマ研究法の多岐性は,同時にそれぞれの研究法に従う研究者が半ば独立に研究を進めるという事態を招来したことも事実である。今後ジレンマ研究が多産な成果を生み出すためには,各々の研究法に従う研究者が相互に連絡を密にし,相補って研究を進めることが必須の条件である。
今回の研究会は,ジレンマ研究における上記の問題に対処するため,異なった研究法に従う研究者がそれぞれの研究法の可能性と問題点を討論することを目的とする。研究法(モデル構成,ゲーム実験,シミュレーション,事例研究)別に報告と討論を行う予定である。併せて,政治学者,経済学者の参加を得て,ジレンマのフレームワークの適用可能性を再検討することを期する。


本研究会は,中村隆と海野道郎の発起を受けて,高木英至と広瀬幸雄が組織した,社会的ジレンマに関する我が国で初めての学術的研究会である。研究会のフォーマルなプログラムは,8つの報告と,それをめぐる討論であった。報告者「テーマ」(指定討論者)は,次の通りである。1.高木英至「社会的ジレンマ・モデルの検討」(海野道郎,永田えり子),2.村田光二「ゲーム実験によるジレンマ研究」(三井宏隆,伊藤英),3.佐藤香「シミュレーション実験によるジレンマ研究」(広瀬幸雄,岩本健良),4.山本吉宣「公共財供給に由来するゲーム」(北畠能房,木村邦博),5.日下正基「地域環境をめぐる社会的ジレンマと工学的対応」(小椋正立,長谷川公一),6.箕浦康子「大学構内における学生の駐輪行動の調査研究」(長谷川計二),7.高坂健次「ジレンマ研究の問題点と課題」(今田高俊,山口弘光)。
各セッションは,30分の報告と30分の討論で構成されたが,議論が弾み,セッションを打ち切るのが困難な程であった。反面,時間の制約から十分な議論ができなかったのも事実である。だが,これまで独立に研究を行ってきた,経済学者・心理学者・政治学者・社会学者・統計学者が一堂に会した意義は大きい。近い将来にこの研究会を何らかの形で継続・発展させる事を約して散会した。
なお,メンバーの内の10数名は,9日夜から11夜まで,同じ宿舎に宿泊した。また,10日夜には,懇親会も持たれた。このような場におけるインフォーマルな議論から多くのものを得た,との声も聞かれた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

今田 高俊

東京工業大学

海野 道郎

東北大学

小椋 正立

埼玉大学

北畠 能房

国立環境研究所

日下 正基

大阪大学

高木 英至

埼玉大学

高坂 健次

関西学院大学

長谷川 公一

東北大学

広瀬 幸雄

名古屋大学

三井 宏隆

慶応義塾大学

箕浦 康子

岡山大学

村田 光二

日本学術振興会

山口 弘光

松山大学

山本 吉宣

埼玉大学