平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−10

専門分類

1

研究課題名

非線形構造を持つ多次元データの解析法の数理的研究

フリガナ

代表者氏名

ミズタ マサヒロ

水田 正弘

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院工学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多次元データ解析の理論的基礎として線形構造の解析があり,数多くの成果が上げられている。しかし,線形構造を仮定できないデータも少なくない。例えば角度データや特定の曲面の近くに分布していると考えられるデータでは,それらの特性を利用する方が有効である。そこで本研究では,角度データの解析等を中心に非線形構造を持つデータの解析法の開発を目的とする。


多次元データ解析の理論的基礎として線形構造の解析があり,数多くの成果が上げられている。しかし,線形構造を仮定できないデータも少なくない。例えば角度データや特定の曲面の近くに分布していると考えられるデータでは,それらの特性を利用する方が有効である。そこで本共同研究では,非線形構造を持つデータの解析法の開発を目的とした。
昨年までの理論的成果を基に,馬場助教授と水田助教授は互いに連絡を密にしながら研究を進めた。特に,これまでデータの内在的な非線形構造として2次曲線的構造を前提としてきたが,1989年に発表されたPrincipal Curves(Hastie,T.& Stuetzle,W.)の概念を本研究に導入することにより,一般的な曲線的構造まで扱うことが可能になった。
しかし,Principal Curvesはコンピュータ指向の手法であり,アルゴリズムの効率,解の収束,理論的な意味付けなどに多くの課題が残っている。そこで,本課題に関するPrincipal Curvesの有効性を検討するために,1.理論的な検討,2.計算機上での実現,3.アルゴリズムの改良,を当面の目的として研究を進めた。年度当初,プロトタイプとしてS言語でPrincipal Curvesのプログラムを作成した。その後,詳細なアルゴリズムの検討のためにC言語に移植した。特に,探索部分の改良により,計算時間を10倍程度高速化することが可能になった。解の収束条件,データの潜在的な構造の再現性などの検討は継続中である。
さらに,本研究の応用として,数量化III類の結果に曲線を当てはめることにより,結果の解釈に有効であることを見いだした。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・水田正弘,視覚的データ解析システムにおける曲線あてはめ,「頑健推定の理論とその応用」シンポジウム。1989年10月25日。
・馬場康維,Linked vector representation of distribution and its applications.第3回日中統計シンポジウム。1989年11月11日。
・水田正弘・馬場康維,Principal curvesについて(仮題)第58回日本統計学会(発表予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

多次元データが有する可能性のある非線形構造は非常に多様であるが,本研究では,角度として表現できる構造および曲面の近くに分布していると仮定できる構造を有するデータを中心に扱う。さらに一般的な構造を有するデータを数理的に研究する。また,昭和63年度の共同研究(63−共−8)により作成した曲線のあてはめに関するソフトウェアの改良と,それによる数量化などへの応用の検討をする。
統数研の馬場助教授は従来から角度データの解析についての研究成果があり,その基礎のもとに種々のデータ解析法の研究・開発を行ってきた。また北海道大学の水田助教授は曲面的構造を解析する方法を研究・改良している。そこで両者の共同研究によって非線形構造を統一的に解析するための基礎理論の構築を目指すことができる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所