平成152003)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

15−共研−1014

専門分類

6

研究課題名

ランダムな不均質を含んだ地下構造の地震波によるイメージング

フリガナ

代表者氏名

ニシザワ オサム

西澤 修

ローマ字

Nishizawa Osamu

所属機関

産業技術総合研究所

所属部局

職  名

主任研究員

所在地

TEL

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研究目的と成果(経過)の概要

地震波の波形は地下構造に関する重要な情報を含んでおり,地球内部の不均質構造は観測された地震波に
よって推定される。実際の地下構造は複雑であるが,これを空間波長領域で見るとさまざまな波長からなっ
ていることがわかる。通常,地下構造が求められるのは長波長構造の部分であり,短波長構造は長波長構造
からのランダムなゆらぎとして認識される。地下構造として決められるのは長波長構造であり,予測される
地震波は長波長構造にもとづいている。したがって,短波長構造は予測される地震波にゆらぎを与える原因
となるので,長波長構造に対する誤差を生み出す原因と見ることができる。
 この研究では,地震波ゆらぎと短波長ランダム不均質との関係を明らかにする。このため,モデルを用い
た室内実験と数値実験を行う。室内実験では,岩石を用いてランダムな不均質構造の縮尺モデルとする。
震源からの放射パターンが等しく,震源-受信点距離を等しくする円状のアレイによって透過弾性波や
反射弾性波の波形を取得する。均質媒質ではこれらの波について全く同じ波形が観測されるはずである
が,ランダム不均質媒質では,弾性波はランダムな不均質によって散乱され,相互の波形が異なってい
る。波形の違いを調べるために多変量ARモデルを適用し,波形間のクロススペクトルを計算し位相の
ゆらぎを調べた。
 位相のクロススペクトルを見ると低周波側では波形間の位相差は小さく,高周波側で位相差が急激に
大きくなる。また,観測点間距離と波形間の位相のばらつきも周波数の関数として解析することができ
るが,低周波側では観測点間距離の増加に対する位相の違いが小さく,ある周波数以下では距離の増大
に対して位相のばらつきは小さいままである。しかし,高周波側では一定距離を越すと位相の違いが大
きくなり,位相のばらつきは一様分布から作り出されるランダムな値になる。
 以上の事実は地震波による地下構造決定に重要なてがかりを与える。とくに,ある周波数から波形の
間の位相が乱れることは,それ以上の周波数の波を利用しても不均質構造を求めることができないこと
を意味し,地下構造決定の分解能の限界を示している。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
 Nishizawa,O.and Kitagawa,G.An Experimental Study of Phase Angle Fluctuation in Seismic Waves
in Random Heterogeneous Media:Time Series Analysis based on Multivariate AR Model.
学会発表
1.西澤 修(産総研),北川源四郎(統数研),短波長不均質が地震波に及ぼす影響 ?:多変量ARモデル
にもとづく散乱波の解析続報,地震学会秋季大会 2003.10.6 京都市京都国際会館
2.Osamu Nishizawa,Experimental study of seismic wave propagation in random heterogeneous media,
Workshop of Seismic Waves in the Heterogeneous Earth:More Applications to Seismology and Exploration
Geophysics:2004.07.10,Sendai,Japan.
依頼講演
 西澤 修(産総研)ランダム不均質媒質中を伝播する地震波の実験的研究?実験手法と地震学・物理探査
への応用について?第七回21世紀COE先端地球惑星科学セミナー 2004.02.26 東北大学。
ホームページ
http://staff.aist.go.jp/osamu-nishizawa/model/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所