平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−72

専門分類

7

研究課題名

陸上脊椎動物の起源に関する分子系統学的研究

フリガナ

代表者氏名

ハセガワ マサミ

長谷川 政美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

陸上脊椎動物の起源に関するミトコンドリアDNAの分子系統学的解析で、ヤツメウナギを外的基準に採ると、明らかに間違った系統樹が非常に強く支持されてしまう。この異常の原因を明らかにして、魚類のどのグル−プが陸上脊椎動物の祖先になったかという問題を解明する。このことは分子系統樹推定法の信頼性を高めるために重要な課題である。


アフリカ肺魚(Protopterus dolloi)とシーラカンス(Latimeria chalumnae)の四足動物に対する系統的関係について、ミトコンドリアDNAの全配列データをもとに検討した結果、シーラカンスが四足動物に近縁だとする可能性はほとんど否定することができたが、肺魚とシーラカンスが近縁、もしくは肺魚と四足動物が近縁だとする関係のいずれが尤もらしいのかについて統計的に有意な結論を下すことはできなかった。
さらに核コードの遺伝子も含めて検討しても、結論は出せなかった。これらの系統の分岐が非常に短期間に起こったこと、解析に用いた遺伝子間の進化速度に大きな差異があることなどが、その主な原因であると考えられた。
一方、近年、陸上脊椎動物の中でもとくに哺乳類の多くの種について、ミトコンドリアDNAの全配列が決定されてきているため、これらのデータをもとに、哺乳類の目の間の関係について詳細な検討を行ない、さまざまな新知見を得るとともにデータ解析上の問題点を指摘した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Zardoya, R., Cao, Y., Hasegawa, M. and Meyer, A.: Searching for the closest living relative(s) of tetrapods through evolutionary analyses of mitochondrial and nuclear data. Mol. Biol. Evol. Vol.15, 506-517, 1998
Cao, Y., Janke, A., Waddell, P.J., Westerman, M., Takenaka, O., Murata, S., Okada, N., Paabo, S. and Hasegawa, M.: Conflict among individual mitochondrial proteins in resolving the phylogeny of eutherian orders. J. Mol. Evol. Vol.47, 307-322, 1998

長谷川政美, Ying Cao: 哺乳動物の系統進化, 日本遺伝学会第70回大会, 1998年9月23日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

円口類のヤツメウナギを外的基準に採った場合のミトコンドリア系統樹の異常の原因を調べるため、同じ円口類に属するヌタウナギのミトコンドリアDNAの全塩基配列を決定し、塩基置換やアミノ酸置換のパタ−ンがヤツメウナギとどのように違っているかを調べる。更にリボソ−ムRNAなど他の遺伝子の解析もすすめ、ミトコンドリアDNAの分子進化のパタ−ンが他の遺伝子のパタ−ンとどのように違っているかを調べる。このような解析結果をふまえて、より現実的なモデルを構築し、陸上 脊椎動物の起源の問題を解明する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡田 典弘

東京工業大学

Cao Ying

統計数理研究所