平成232011)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

23−共研−14

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

7

研究課題名

株価実現ボラティリティの時系列解析

フリガナ

代表者氏名

タカイシ テツヤ

高石 哲弥

ローマ字

TAKAISHI TETSUYA

所属機関

広島経済大学

所属部局

経済学部教養教育

職  名

教授

 

 

研究目的と成果の概要

ボラティリティは金融時系列解析でリスクを測るための重要な量である。ボラティリティは時系列から直接測定できる量ではない。そこで、本研究では株価の高頻度時系列データから求めた収益率の2乗を足し合わせて測る実現ボラティリティを測定する。そして、実現ボラティリティによって標準化した株価収益率の分布を研究すること及び実現ボラティリティを利用したGARCHモデルによる時系列解析を目的とする。
東京証券取引所における流動性の高い株価5つについて標準化した収益率を分析したところ、標準化後収益率分布は正規分布に近づくことがわかった。これは株価価格の変動が時間的に変動するボラティリティを持つ正規分布によって表される(分布混合仮説)こと示唆している。しかし、標準化後収益率分布の尖度を詳しく調べると、正規分布から予想される3よりも小さいことが判明した。この正規分布からの偏差について詳しい解析を行うと、この差は実現ボラティリティの計算を実行するときのサンプリング周波数に依存することが判明した。つまり、実現ボラティリティは有限のサンプリング周波数による有限誤差を含んでいることになる。従って、実現ボラティリティの計算にはサンプリング周波数による影響を考慮して誤差の影響が十分小さくなるように計算する必要があることが明らかとなった。
また、実現ボラティリティを利用した時系列解析を行うための新たなGARCHモデルを開発した。新たなGARCHモデルは誤差項に分数関数を利用したものである。実証分析を行うことによって、分数関数を利用したGARCHモデルの方が正規分布を利用したGARCHモデルよりもよりフィットがよい事が判明した。