平成222010)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

22−共研−1025

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

変革プロジェクトにおける現状固執メカニズムモデルの研究

フリガナ

代表者氏名

キノ ヤスノブ

木野 泰伸

ローマ字

KINO YASUNOBU

所属機関

筑波大学

所属部局

大学院ビジネス科学研究科

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ITシステム開発プロジェクトは急速な技術革新により、近年難易度が高まっている。一般的に、企業の変革を促進しるような難易度の高いシステム開発プロジェクトには、経験豊かな成功体験を持つメンバーを登用する場合が多い。しかし、成功体験を持つ経験豊かなメンバーは、かつて成功した方法論に固執し、新しい変革プロジェクトの推進において、負の効果を及ぼすことがある。
そこで、本研究では、そのメカニズムを解明するために、統計的手法を用いた仮説モデルの構築による検証を行った。
 本研究の成果は、ITプロフェッショナルが変革プロジェクトのメンバーとして参画した際の社会不適応の原因を共分散構造分析のアプローチ手法にて検討したことである。その中で、時間的展望研究における利害や価値判断としての時間的指向性についての心理的尺度化ができたと考えられる。また、変革プロジェクトにおける不適応は3つの時間的指向のなかでも過去を重視する過去指向を要因とする傾向が最も強いことが分かった。同時に変革への適応は未来指向が強まった場合に生じることが分かった。このことはプロジェクトマネジメント関係者に変革性の高いプロジェクトのメンバーに過去の経験豊かなベテランを参画させる際に慎重になる必要があることを示唆するものである。ベテランを参画させる際にはアサインメント(参画)の納得感を持たせるため、過去の専門性に依存せず、全く新たな態度で取り組むことを徹底して説得しなければならないことが必要であると言える。つまり過去との決別の覚悟をさせる必要があると言える。そして、変革プロジェクトの「チーム不統一感」が強いと過去指向が強まるということ。その結果、強まった過去指向を通して変革への不適応が強まるという関係があることが確認された。これは、他のメンバーが苦労の多い新しい技術ややり方に適応していないのに、自分だけ適応するのは損であると感じるためであると考えられる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平成23年7月現在 日本行動計量学会誌投稿中
平成22年11月12日 経営行動科学学会年次大会:発表論文集(13),156-161,2010-11-12
「変革プロジェクトのリーダーシップに関するシミュレーション」
平成22年3月8日 情報処理学会全国大会講演論文集 第72回平成22年(2),"2-79"-"2-80",
2010-03-08

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成23年3月18日 テーマ:投稿論文案討議、筑波大学大学院(神保町)3名
平成23年3月12日 テーマ:アンケート分析結果討議、筑波大学大学院(神保町)3名
平成22年10月8日 テーマ:アンケート分析方針討議、筑波大学大学院(神保町)3名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

椿 広計

統計数理研究所

中井 誠司

筑波大学

野間口 隆郎

新日本有限責任監査法人

林 章浩

(元)IBMビジネスコンサルティングサービス