平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−73

専門分類

7

研究課題名

表皮組織中の腫瘍の幾何学モデル

フリガナ

代表者氏名

ホンダ ヒサオ

本多 久夫

ローマ字

所属機関

兵庫大学

所属部局

経済情報学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ヒト皮膚の表皮組織では,多面体表皮細胞が隙間なく3次元空間を埋め尽している。ここに存在する微少な腫瘍細胞巣は,表皮細胞間結合をずらしたり破壊したりしてできた多面体である。細胞巣としてどのような多面体が可能なのかを幾何学的に推測し,実際の形態と比較する。


表皮組織中の腫瘍の幾何学モデル
ポートリエ微小膿瘍は,表皮組織中に悪性リンパ腫由来の白血球がつまったほぼ球状の構造体である。血液中の白血病細胞が,宿主により表皮組織を経て排泄される過程,すなわち,生体防御反応でできると考えられる。この白血病細胞塊は,表皮の多層上皮細胞からなる組織を押しひろげて,表皮組織中に球状の洞を形成している。この洞の形成および形態に関して以下のような進捗があった。
1.2次元空間での洞の形成
3次元空間で考える前に,正6角形細胞が敷詰まった2次元空間で,白血病細胞塊が細胞間に詰まって,表皮細胞を押しひろげたらどのような洞ができるか考えた。はじめ,3角形であったものが6角形になり,6角形は隣合った辺の長さが,1,2;2,2;2,3;3,3;..,..;n,n;n,n+1のようなリズムで拡大していくと考えられた。
また,偏平に押しひろげられた細胞は洞の壁に張り付くのであるが,いつの時点で剥脱するのかについては,実際の測定によって見当がつくと考えられた。
2.洞形成の電算機シミュレーションのためのアルゴリズム
3次元空間の洞形成は,ケルビン14面体で詰まった空間から出発するとよいという昨年度の結論に基づき,電算機シミュレーション実施のアルゴリズムをつくった。まず,(1)ケルビン14面体の詰まった周期的空間のすべての面の頂点座標を求めた。つぎに,(2)ケルビン14面体の配置をボロノイ多面体の代表点で記述し,注目した代表点Aからの距離が近い順に,まわりの代表点を列挙した。代表点Aとまわりの代表点間を結ぶ線分の垂直面と1の座標をつかって洞の形態を計算することができる。
3.実際の洞の3次元構築
ポートリエ微小腫瘍の厚み1ミクロン連続切片標本を作製し,いちれんの光学顕微鏡像から画像解析装置をつかって,偏平表皮細胞に包まれた洞を再構築した。現在,細胞の個数,洞の表面積および体積を定量しつつある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本多久夫,種村正美,吉田昭広「分化のラテラル抑制モデルによる神経芽細胞形成」
日本生物物理学会第28回年会(九州大学’90年10月11−13日)
H.Honda,M.Tanemura,A.Yoshida“Estimation of neurobalst numbers in insect neurogenesis using the latera


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成元年度は,走査型電子顕微鏡で細胞間結合装置であるデスモゾームの細胞表面での分布を観察できる技術を確立し,また一方,ゴム輪による2次元多角形模型を製作しモデル化について議論した。
観察と考察を深め3次元空間中の多面体充填モデルを実際にどうあてはめるのがよいのか検討する。
年3回の打合せ会議(このうち1回は九州大学医学部において実地調査を予定)と1週間程度の電算機使用のための統数研滞在を1回計画している。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

今山 修平

九州大学

種村 正美

統計数理研究所