平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2022

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

6

研究課題名

小学生の英語学習に対する動機づけの縦断調査

フリガナ

代表者氏名

カレイラマツザキ ジュンコ

カレイラ松崎 順子

ローマ字

Junko Matsuzakzi Carreira

所属機関

東京経済大学

所属部局

現代法学部

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究では小学生の英語学習に対する動機づけの発達的傾向をより明確にとらえるために、Deci& Ryanが提唱した自己決定理論にもとづき作成した質問紙を小学3年生に4年間行い、縦断的調査を行った。
 反復測定一元配置分散分析により検討した結果,内発的動機づけは小学3年生から小学4年生,小学5年生から小学6年生において有意に減少していた。横断的に日本の児童の英語学習に対する動機づけを調べたCarreira(2006, 2011) においても学年があがるについて内発的動機づけが下がる傾向にあることを明らかにしているが,縦断的調査によっても同様のことが示されたことになる。 同一・取り入れ調整は,特に,有意に減少している学年は見られなかったが,小学3年生から小学6年生の4年間の間に有意に減少していた。また,外的調整においても小学3年生から小学6年生の間に有意に減少しており,特に,小学3年生から小学4年生の間に減少が著しかった。これらのことから動機づけは種類にかかわらず,減少していくことが明らかになった。
一方,心理的三欲求に関しては,自律性と有能性の欲求は4年間で有意な変化は見られず,関係性の欲求に関しては小学4年生で有意に一時上昇したが,小学5年生で有意に減少していた。
さらに,動機づけ尺度と心理的三欲求の尺度の関係を調べてみると,内発的動機づけに関しては,どの学年でも概して自律性の欲求,有能性の欲求,関係性の欲求と正の関係が見られることから,心理的三欲求が満たされると内発的に動機づけられるというDeci & Ryan(1985, 2002)の主張は本研究によっても裏付けられた。ところで,小学5年生において自律性,有能性,関係性が一時的に上昇しており,内発的動機づけと同一・取り入れ調整も一時的に上昇している。これらは有意な上昇でないため,本研究で詳しく議論するのは避けたが,もし,心理的三欲求を満たすような活動を意識的に取り入れ,これらの三欲求が満たされるようになるなら,学年が上がるにしたがって内発的動機づけが高まる可能性もあるであろう。今後はそのような可能性について検討していきたいと考えている。

 

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1年目のデータはSystemにおいて審査中である。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

2013年3月28日に統計数理研究所において行われた「言語研究と統計2013」において口頭発表を行った。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾崎 幸謙

統計数理研究所

前田 忠彦

統計数理研究所