平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−61

専門分類

7

研究課題名

小児成人病の一要因としての肥満の検討

フリガナ

代表者氏名

トヨカワ ヒロユキ

豊川 裕之

ローマ字

所属機関

東邦大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本来ならば中高年で多発する動脈硬化や糖尿病等のいわゆる成人病が低年齢化し,小児成人病と呼ばれ大きな問題となっている。
小児のこれらの疾患の発症は,肥満との関連が大きいとされているが,関連の定量的な把握については不十分である。本研究では,両者の関連を定量的に明らかにし,因果モデルの作成を試みる。


都市近郊農村として位置する栃木県真岡市北部の1地域に居住する小学生(4〜6年生、男子178名、女子159名)を対象として、身長および体重から算出される体格指数のみでなく、Aモード式超音波皮下脂肪厚計を用いて測定した皮下脂肪厚を肥満の指標とし、血圧、血液生化学検査結果(血清脂質、肝機能、血糖値、貧血検査)、生活習慣調査結果との関連を検討した。
身長および体重から算出した体格指数と皮下脂肪厚との関連は強いが、中には体格指数の分母となる身長が低いために、体格指数が大きい値を取り、結果として肥満と判定されていた生徒の存在が認められた。体格指数は広く用いられているが、この様な場合についての考慮は必要であることが指摘される。
皮下脂肪厚が厚い生徒では男女とも、血圧、血清脂質に異常を認める者の割合が高くなっていた。また、肝機能、血糖値についても異常が認められた者の割合は、皮下脂肪厚が厚い群で高くなっていた。
生活習慣との関連については、朝食をとらないといった生活不規則な者は皮下脂肪厚が厚い群で多く見られたが、甘い飲料、甘い菓子、スナック菓子、インスタント食品等の摂取については、皮下脂肪厚が厚い群で少なくなっており、肥満が原因となって生徒の食生活を変えていることがうかがえた。しかし、運動については本人・家族とも皮下脂肪厚が厚い群で行っている者の割合およびその頻度とも少なくなっており、運動不足が肥満の大きな原因となっていた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.研究対象として,大都市(横浜市),都市近郊農村(栃木県真岡市),農山村(長野県上伊奈郡)に居住する小学生を対象とし,性・学年を考慮し,各地区100〜150名程度を用意する。
2.身体状況の把握には,身長・体重等の身体計測値のみでなく,Aモード式超音波皮脂厚計によって測定した皮下脂肪厚を用いる。
3.必要に応じ採血,血圧測定を行い,さらに保健室の記録等をも用いて,小児成人病のリスクを算出する。
4.身体状況,皮下脂肪厚,検査結果等との相互関係を多変量解析を用いて定量化し,モデル化を試みる。
5.本研究の遂行には,多変量解析等の複雑な統計手法を用いる必要があり,統計数理研究所のスタッフの協力は不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

城川 美佳

東邦大学

駒澤 勉

統計数理研究所

高柳 満喜子

東邦大学

中谷 弥栄子

東邦大学

西川 浩昭

筑波大学