平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2064

専門分類

9

研究課題名

残留性化学物質データの組織化と環境影響評価

フリガナ

代表者氏名

ササキ ユウコ

佐々木 裕子

ローマ字

Sasaki Yuko

所属機関

東京都環境科学研究所

所属部局

分析研究部

職  名

部長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

35 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ダイオキシン類をはじめとする残留性化学物質は、高い毒性と長期にわたる残留蓄積性から、ヒトや環境への有害影響が危惧されている。そこで、国及び地方公共団体は、ダイオキシン類対策特別措置法、PCB廃棄物適正処理推進特別措置法などに基づいた排出量削減対策を実施している。ダイオキシン類汚染は地域により焼却、農薬不純物、塩素漂白、PCB製品などの発生源の寄与が異なり、特に一部地域ではPCB製品の寄与が大きいことが明らかとなってきた。PCBは10種の同族体、209種の異性体からなり、データの収集にはダイオキシン類(異性体:222種)と同様に、分析に高度な技術と多大な時間、膨大なコストが必要とされる。そのため、環境中の挙動や発生源寄与などについて、充分な科学的知見が得られていない。本研究は、国内各地域の大気、水、土壌、底質等の各環境媒体のダイオキシン類やPCBの異性体・同族体プロフィールと、焼却、農薬不純物、塩素漂白、PCB製品など主要な発生源ごとに特有な異性体・同族体プロフィールを収集すると共に、ダイオキシン類、PCB発生源解明のためのChemical Mass Balance (CMB)法の整備を進め、更に、データ解析により推定される発生源寄与率やダイオキシン類等の挙動に基づき適切な発生源対策を構築することを目的としている。
 本年度は、東京都内大気中のダイオキシン類濃度、環境中のダイオキシン類の魚類への影響、底質への高濃度塩素添加におけるダイオキシン類の組成パターン、東京都における高濃度汚染事例、千葉県における高濃度汚染事例、米国環境保護局の標準的方法であるCMB8と関数関係解析に基づくCMB法の比較、DB-5MS+CP-cil88→DB-17HT変換シートの検証、ざざ虫を用いたダイオキシン類モニタリング、毛糸を用いたモニタリング等について検討すると共に、宮城県河川水質、宮城県大気、宮城県降下煤塵、宮城県水田土壌、宮城県不法投棄事例、新潟県河川水質、新潟県河川底質、広島県稲藁等を対象に、関数関係解析に基づくCMB法によるダイオキシン類発生源寄与率の推定を実施し、発生源に関する様々な知見を獲得した。更に、未確認発生源寄与率を推定するために開発したベイズ的方法の有用性を検証するため、千葉県市原港底質、新潟県河川底質および宮城県石巻市大気を対象に未確認発生源寄与率の推定を試みた。その結果、方法が期待通りに機能するのが確認されると共に、発生源対策に有用な知見が得られた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・佐々木浩行, 吉岡秀俊, 飯村文成, 山本央, 阿部圭恵, 橋本俊次, 佐々木裕子 (2005). 東京都内大気中のダイオキシン類濃度についての考察, 東京都環境科学研究所年報, 108-114.
・阿部圭恵, 山本央, 佐々木浩行, 佐々木裕子 (2005). 環境中のダイオキシン類の魚類への影響, 東京都環境科学研究所年報, 176-182.
・山本央, 阿部圭恵, 佐々木浩行, 斉藤祟, 佐々木裕子 (2005). 底質への高濃度塩素添加におけるダイオキシン類の組成パターンについて, 東京都環境科学研究所年報, 183-189.
・加藤謙一, 中村朋之, 菱沼早樹子, 鈴木滋, 斎藤善則, 橋本俊次, 柏木宣久( 2005). ダイオキシン類の発生源推定に関する研究−県内ダイオキシン類分布の解析, 全国環境研会誌, 30, 215-221.
・加藤謙一, 中村朋之, 菱沼早樹子, 鈴木滋, 斎藤善則, 橋本俊次, 柏木宣久 (2005). ダイオキシン類の発生源推定に関する研究II−宮城県内の推定事例, No.23, 65-67, 宮城県保健環境センター年報.
・加藤謙一, 中村朋之, 菱沼早樹子, 鈴木滋, 斎藤善則, 橋本俊次, 柏木宣久 (2005). ダイオキシン類の発生源予測に関する研究III−石巻地域の環境大気調査結果, No.23, 138-140, 宮城県保健環境センター年報.
・中村朋之, 加藤謙一, 菱沼早樹子, 鈴木滋, 斉藤善則, 橋本俊次, 柏木宣久(2005.6). ケミカルマスバランス法を用いたダイオキシン類の発生源寄与推定; 不法投棄事例における評価, 環境化学討論会.
・鈴木貴博, 山口晃, 茨城剛, 大野勝之, 村山等, 澁谷信雄, 橋本俊次, 柏木宣久 (2005.6). 関数関係解析によるケミカルマスバランス法を用いた新潟県内におけるダイオキシン類発生源寄与率の推定, 環境化学討論会.
・茨城剛, 山口晃, 鈴木貴博, 大野勝之, 村山等, 澁谷信雄, 橋本俊次, 柏木宣久(2005.6). 新潟県内水環境中のダイオキシン類組成の特徴, 環境化学討論会.
・佐々木啓行, 吉岡秀俊, 佐々木裕子, 山本央, 阿部圭恵, 橋本俊次, 柏木宣久(2005.6). 東京都内大気中のダイオキシン類の組成について, 環境化学討論会.
・鈴木貴博, 山口晃, 茨木剛, 大野勝之, 村山等, 澁谷信雄, 橋本俊次, 柏木宣久(2005.9). 関数関係解析によるケミカルマスバランス法を用いた新潟県内におけるダイオキシン類発生源寄与率の推定, 日本分析化学会関東支部新潟地区部会研究発表会.
・柏木宣久, 吉澤正, 茨木剛, 加藤謙一, 橋本俊次, 佐々木裕子, 稲葉一穂, 山本貴士, 中川慶一郎, 井階美歩, 西尾高好(2005.11). 環境データ解析のためのベイズ的方法の開発とその応用, 統数研共同研究集会「環境データ解析の方法と実際」.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

・残留性化学物質データの組織化と環境影響評価, 平成17年12月9日, 統計数理研究所, 20名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

阿部 圭恵

東京都環境科学研究所

安藤 晴夫

東京都環境科学研究所

飯村 文成

東京都環境科学研究所

茨木 剛

新潟県保健環境科学研究所

大野 勝之

新潟県保健環境科学研究所

大原 俊彦

広島県保健環境センター

岡本 拓

広島県保健環境センター

小澤 秀明

長野県衛生公害研究所

柏木 宣久

統計数理研究所

加藤 謙一

宮城県保健環境センター

北村 洋子

宮城県保健環境センター

木戸 一博

宮城県保健環境センター

小泉 俊一

宮城県保健環境センター

佐久間 隆

宮城県保健環境センター

佐々木 啓行

東京都環境科学研究所

清水 明

千葉県環境研究センター

菅谷 和寿

茨城県霞ヶ浦環境科学センター

鈴木 滋

宮城県保健環境センター

鈴木 貴博

新潟県保健環境科学研究所

友部 正志

茨城県霞ヶ浦環境科学センター

中島 孝康

岐阜県保健環境研究所

中村 朋之

宮城県

仁平 雅子

千葉県環境研究センター

橋本 俊次

国立環境研究所

半野 勝正

千葉県環境研究センター

日浦 盛夫

広島県保健環境センター

菱沼 早樹子

宮城県保健環境センター

星 純也

東京都環境科学研究所

村瀬 秀也

岐阜県保健環境研究所

村山 等

新潟県保健環境科学研究所

安田 裕

岐阜県保健環境研究所

山口 晃

新潟県保健環境科学研究所

山本 央

東京都環境科学研究所

吉澤 正

千葉県環境研究センター