平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−7

専門分類

1

研究課題名

外れ値や不完全値を含む多変量データに対する頑健な解析手法の開発

フリガナ

代表者氏名

オオタキ メグ

大瀧 慈

ローマ字

所属機関

広島大学

所属部局

原爆放射能医学研究所

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

複数の外れ値やセンサリングなどによる不完全情報を含む多変量データを対象とする頑健な解析手法の開発を目的とする。本研究では、多変量解析、特に回帰分析および因子分析に対する基礎理論の構築に焦点を当て、コンピュータアルゴリズムやソフトの開発も並行して行う。


複数の外れ値やセンサリングを含む多変量データを対象とする頑健な統計解析手法の研究を行った。これまでに得られた研究結果としては、多変量正規データに複数の外れ値が混入している場合の外れ値の検出に対する有効な方法を開発できたこと、および、区間脱落などの不完全情報を伴う生存期間データに対する効率の高い統計解析法を開発できたことが挙げられる。
前者は、RoussawによるLMS(Least Median Squares)法にヒントを得たものであり、ブートストラップ法を組み合わせることにより、高い Break-down point を持つ外れ値の検出を可能とするものである。現在は理論的研究を終えシミュレーション実験を行っている段階であり、論文投稿の準備を進めている。
後者は、コホート研究におけるトランケーションや区間脱落などのセンサリングを尤度関数の中で表現し、ハザードに折れ線モデルを仮定した上でセミパラメトリックな統計解析を実現しょうとするものである。現在は、理論的研究をほぼ終了し、その応用として、原爆被爆者コホートデータの解析を行っている段階である。それらの成果については、関連の学会や研究会などで逐次発表してきている。
現在、研究成果をまとめ論文として公表する準備を行っているところである。なお、上記の我々の研究結果の公表に関して、口頭や論文による発表の他に、パソコンで扱うことができるソフトウエアの公表も準備を行っている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

大瀧 慈、多変量正規データに混入した複数の外れ値の検出、計算機統計学会シンポジュ
ーム、1994年12月13日
松浦正明、大瀧 慈、笠置文善、早川式彦、動的集団のリスク評価におけるポアソン回帰
モデル、第62回日本統計学会、1994年7月26日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1)LMS(Least Median Squares)法に基づく推測法の考え方を一般の尤度法に基づく推測法に適用できるように概念の一般化・拡張を行い、手法の定式化を計る。2)複雑なセンサリングメカニズムを有する多変量データを対象とする場合の有効な解析法の開発を行う。3)上記、1)および2)に基づいたデータ解析を実行するための効率の良いコンピュータアルゴリズムを開発する。基礎理論やアルゴリズムに対して、統計数理研究所の物理乱数発生装置を使用したモンテカルロシミュレーションにより、有効性を逐次検討・評価する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 学

広島大学

橋本 哲男

統計数理研究所

松浦 正明

広島大学