平成192007)年度 若手短期集中型研究実施報告書

 

課題番号

19−共研−3003

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

放射線帯粒子のデータ同化に関する基礎研究(2)

フリガナ

代表者氏名

ミヨシ ヨシズミ

三好 由純

ローマ字

Yoshizumi Miyoshi

所属機関

名古屋大学

所属部局

太陽地球環境研究所

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

50千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地球周辺の宇宙空間には、放射線帯とよばれる領域があり、そこには地球磁気圏で最もエネルギーが高い粒子が大量に存在している。放射線帯は、磁気嵐と呼ばれる太陽の爆発現象に対応する地球磁気圏の大規模擾乱時に、大きく変動する。放射線帯のエネルギーの高い粒子は、帯電、被爆などの形で、人工衛星の安定な運用や宇宙飛行士の安全な宇宙活動にきわめて深刻な影響を及ぼすため、その正確な動態の把握および変動の予測は、宇宙天気研究において重要な課題である。この放射線帯の時間・空間変動過程は、粒子の動径方向拡散という形でこれまで記述されてきており、平衡状態での放射線帯の空間分布については、よく再現されている。しかし、そこで用いられている拡散係数および粒子消失の時定数などを、観測的に決定することが難しいため、特に大規模擾乱時における変動の精度良い記述には限界があった。

2007年度は、昨年度の共同研究において開発した「放射線帯物理モデルのデータ同化の計算コード」を用いた放射線帯粒子輸送係数の推定およびコードの改良を実施した。データ同化から推定された放射線帯輸送係数の時間変化と従来使われてきている経験的な拡散係数の比較を行ったところ、時間変化の傾向はよく一致するものの、従来の経験的な拡散係数は係数の絶対値を大きく見積もりすぎていることが明らかとなり、放射線帯物理モデルの精度向上のためには、従来の拡散係数の改良が必要であることが示唆された。また、データ同化から推定される拡散係数の時間変動には、比較的短い時間スケールで値が大きく変動する傾向があることが判明した。これは、磁気圏で拡散を担っているULF pulsationのアクティビティと対応していると考えられ、今後 ULF pulsationのデータ等との比較も行い、放射線帯粒子の拡散を引き起こしている物理プロセスの推定につなげていく。

なお、これらの結果については、地球電磁気・地球惑星圏学会、および国内の研究集会において発表を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究に関して、以下の国内学会、研究集会での発表を行った。

三好由純、上野玄太、V. Jordanova, G. Reeves, 越石英樹、松本晴久、五家建夫、
放射線帯のデータ同化
名古屋大学太陽地球環境研究所/NICT合同シミュレーション研究会、2007年.

三好由純、上野玄太、V. Jordanova, G. Reeves, 越石英樹、松本晴久、五家建夫、
放射線帯シミュレーションのデータ同化
地球電磁気・地球惑星圏学会、2007年.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所