平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−3

専門分類

1

研究課題名

主成分分析に関連したノンパラメトリック検定法の研究

フリガナ

代表者氏名

ウシザワ ケンジ

牛沢 賢二

ローマ字

所属機関

産能大学

所属部局

経営情報学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

これまでの主成分分析に関連したノンパラメトリック検定法についての研究成果は、国内の学会や国際学会(ISI)等で発表し、そこでいくつかの問題点が指摘された。平成6年度の研究では、それらを踏まえて、主として、多変量対数正規分布及び多変量離散分布を前提とした場合の乱数発生の方法、ノンパラメトリック検定法の精度の改善に焦点を当てて研究する。


主成分分析の固有根に関する2標本問題について、いくつかのノンパラメトリック検定法の開発とその有効性について継続的に研究を進めてきたが、今年度は以下の点が明らかになり、関連学会で報告予定である。
1.多変量正規分布の場合 (1)共分散行列にもとづく場合は、主成分スコアが漸近的に独立に正規分布に従うことが分かり、これまで検討してきたAnsari-Bradley検定が有効に利用できる。(2)固有根の比の分布は、漸近的にF分布に従う。ただし、Ansari-Bradley検定法の方が、F検定よりも一様に精確であることがシミュレーションにより確認された。(3)相関行列にもとづく場合は、主成分スコアは独立ではなくノンパラメトリック法は適用できない。ただし、ある修正を行うことによりF検定を利用でき、固有根同士が互いに分離している場合は、ある程度有効である。
2.多変量対数正規分布の場合 非対称な連続分布として対数正規分布の場合を検討した。(1)正規分布から少しでも離れるとF検定やAnsari-Bradley法は使えない。(2)それに対してMosesのRank-like法は正規分布から大きく離れていても有効である。ただし、この方法はサンプル数や、Ranklike法のサブグループの大きさにより精度が変わることに注意する必要がある。(3)以上は共分散行列をベースとする結論であり、相関行列の場合についてはなお検討課題である。
3.離散分布の場合もMoses法の有効性が部分的なシミュレーションにより確かめられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Sugiyama and Ushizawa, A nonparametric method to test equality of corresponding latent roots of two populations in principal component analysis, Comp. Statist. & Data Anal.( submitted)

牛沢、佐藤、杉山:Moses Ranklike法にもとづく固有根の同等性に関する検定の評価 日本統計学会(1995.7予定)
Ushizawa,Sato,Sugiyama : On the nonparametric test for equality of latent roots of two covariance matrices in multivariate lognormal distribution, 50th ISI

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)研究内容 ・多変量対数正規分布を前提とする主成分分析に関するノンパラメトリック検定法の精度を上げるために、これまでの方法の改善または新たな方法の開発を試みる。・多変量離散データを用いた主成分分析に関するノンパラメトリック検定法については、乱数発生のより合理的な方法を検討すると共に、検定法の精度をさらに改善する統計量の研究を行う。
(2)共同研究の必要性 ・乱数生成の方法やノンパラメトリック検定の理論的背景などに関して清水良一先生の指導を仰ぎたい。・本研究は、大規模なシミュレーションに基づく研究であり、そのために統計数理研究所の物理乱数発生装置と大型コンピュターを利用したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

佐藤 義治

北海道大学

清水 良一

統計数理研究所

杉山 高一

中央大学