平成20(2008)年度 共同利用登録実施報告書
| 課題番号 | 20−共研−3 | 分野分類 | 統計数理研究所内分野分類 | e | ||
| 主要研究分野分類 | 7 | |||||
| 研究課題名 | ファットテイル型分布を用いた経済時系列データのベイズ推定 | |||||
| フリガナ 代表者氏名 | タカイシ テツヤ 高石 哲弥 | ローマ字 | TAKAISHI TETSUYA | |||
| 所属機関 | 広島経済大学 | |||||
| 所属部局 | 経済学部教養教育 | |||||
| 職 名 | 教授 | |||||
| 研究目的と成果の概要 | 
| GARCHモデルのベイズ推定を実行する方法として、一般にはマルコフ連鎖モンテカルロ法が用いられる。マルコフ連鎖モンテカルロ法にはさまざまな方法があるが、生成されるデータ間の相関はどの方法を利用するかによる。データ間の相関は統計誤差を大きくするので、相関の小さい方法を用いるのが望ましい。これまでの研究から、GARCHモデルに対しては、Metropolis-Hasting法を利用し、その提案分布としてスチューデント分布を用いた方法が有効であることが知られている。しかし、スチューデント分布を用いるためにはスチューデント分布のパラメータをあらかじめ決めなければならない。先行研究では、それらのパラメータを最尤法を用いて決定している。本研究では、マルコフ連鎖モンテカルロ法を実行しながらパラメータを決定する方法を提案した。具体的には、まずMetropolis法で計算を始め、その計算から得られたデータを利用してスチューデント分布のパラメータを決定する。そして、そのスチューデント分布を提案分布としてMetropolis-Hasting法を実行する。スチューデント分布のパラメータは、計算の途中でそれまでに得られたデータを利用して定期的に更新する。この方法によってGARCHモデルのベイズ推定を実行した結果、スチューデント分布のパラメータは計算の前半で精度よく求められることがわかった。また、この提案分布によるMetropolis-Hasting法では、70%と高いアクセプタンスが得られた。そして、生成されたデータ間の相関は2−3程度と非常に小さい値が得られた。この値は、最尤法を用いた手法とほぼ同じ値である。従って、本研究でのGARCHモデルのベイズ推定法は有効な推定方法の一つであると考えられる。 |