平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−105

専門分類

9

研究課題名

森林農地環境の公益的機能評価のための統計的方法について

フリガナ

代表者氏名

ウワフジ イチロウ

上藤 一郎

ローマ字

所属機関

鈴鹿国際大学

所属部局

国際学部

職  名

専任講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

森林農地の保有している環境が社会の諸側面に及ぼす効果を評価する試みは、従来より国土・環境保全機能の自然科学的評価を中心に行われているが、社会的・文化的側面を含めた多面的な公益的機能(大気、河川水質、景観等)の価値を経済的に評価するという試みは充分であると言い難い。本研究はこの森林農地環境の公益的機能への効果を、貨幣単位で表す経済的評価として如何にして統計的に計測するか、その方法論的研究を主たる目的とする。


森林農地の環境保全等の諸機能に対する外部経済効果の計測方法(貨幣評価法)について共同研究を行った。特に本年度は、その研究の第一段階として既存の統計的計測方法の詳細を調査し、その統計学的及び経済学的意味について検討を加えた。取り上げた主な方法は、代替法、ヘドニック法、トラベルコスト法、仮想状況評価法の4つで、その実証研究の成果についても調査研究した。
先ず代替法については、実証研究の実績は多いが適切な代替物が存在しない場合、適用が不可能であり、代替物選択の妥当性にも問題点があることを明らかにした。またヘドニック法については、環境便益が不動産価格に含まれるというCapitalization Hypothesisの現実妥当性の問題について検討した。トラベルコスト法については、距離費用計算の問題や時間の機会費用推定の問題等を検討した。更に仮想状況評価法については、近年脚光を浴びている方法として、P-O.ヨハンセン『環境評価の経済学』、嘉田良平他著『農林業の外部経済効果と環境農業政策』等の主要文献を中心に詳細に検討した。特に評価値の経済学的意味(補償変分、等価変分)の妥当性については、その実証研究の成果を素材に検討を加えた。
本年度の研究は、以上の様に外部経済効果の統計的測定方法における現状を把握し、それらの問題点を析出することに中心が置かれた。この研究成果を基礎に、新たな統計的方法の開発並びにその実証研究を今後の研究課題としたい。
〔研究会の場合 開催期間:平成8年2月16日(金) 開催場所:統計数理研究所  〕


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

吉田 忠他著『「森林交付税」についての調査報告書』
森林交付税創設促進連盟、平成7年2月16日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究は、主に森林農地環境の及ぼす経済効果の測定方法に焦点を定めて行われる。その内容は主として二つに大別される。第一にヘドニック法やサーベイ法などの従来の計測方法を統計学的観点から再検討し,その有効性を検証する。第二に最近の計量経済学の成果である診断検定を用いて計測モデル・ビルディングの問題を検討し、その枠組みの中から経済学的意味と数理統計学的論理との整合性に配慮しつつ新たな方法論の試みを行う。この研究を遂行するためには従って、経済学関連の研究者ばかりでなく数理統計学関連の研究者の参画が是非とも必要となってくる。その意味で統計数理研究所との共同研究は当研究にとって最も望まれるものである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

浅野 耕太

京都大学

小田 滋晃

京都大学

金子 治平

神戸大学

広岡 博之

龍谷大学

柳本 武美

統計数理研究所

吉田 忠

大阪工業大学