昭和611986)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

61−共研−51

専門分類

7

研究課題名

集団健康管理の深度化に関する統計的研究

フリガナ

代表者氏名

マユミ タダシ

真弓 忠

ローマ字

所属機関

自治医科大学

所属部局

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

特定集団において毎年収集される健康に関する情報を併合解析し,健康を保持するための指針をさぐる。
昭和61年度は肝硬変,肝癌死亡に与える各種要因について解析し,両疾患の予防に資する。


男性職域集団において毎年収集される健康に関する情報を併合解析し,健康を保持するための指針をさぐる。本年度は肝疾患死亡に与える影響について解析を進めている。現在までにB型肝炎ウィルスのマーカー(1)HBsAg,HBsAb(2)HBeAg,HBeAbの影響についての解析を終えているので報告する。
東京地区国鉄職員7万人を対象にして,昭和48年以降5才毎多項目検診と称して,40,45,50,55才時にB型肝炎ウィルスマーカーおよび各種肝機能検査を含む検診を行なってきた。HBsAg,HBsAbの両者の検査を行なった昭和48年と53年の男性職員,25,547人を対象としS抗原抗体系の肝疾患死亡に与える影響を検討した。
e抗原・e抗体系が肝疾患死亡に与える影響を検討するために昭和52年から昭和54年にs抗原陽性者513名に,e抗原e抗体の検査を行なった。同期間に検査したs抗原陰性者も含めて25,547人の男性職員を検討の対象とした。これらの対象者を昭和60年3月31日まで追跡し,生死および死因の確認を行なった。肝疾患死亡の相対危険度は年令分布,観察期間の補正のため,併合オッズ比で求め,統計学的検定はMantel−Haenzel法によった。
HBsAg・Ab系の検討のための対象者およびHBeAg・Ab系の検討のための対象者からそれぞれ,28例,77例の肝疾患死亡者を確認できた。
HBsAg陽性者およびHBsAb陽性者を両者陽性者と較べ肝疾患死亡危険度はそれぞれ12.8倍(P=0.0000),0.83倍(P=0.9392)で,HBsAg陽性は肝疾患死亡の危険因子であるが,HBsAb陽性は危険因子ではないという結果を得た。
HBeAg陽性,HBeAg・Ab両者陰性およびHBeAb陽性の3グループはコントロールのHBsAg陰性者に較べて,肝疾患死亡の相対危険度はそれぞれ72.88倍(P=0.0000),25.14倍(P=0.0000)および7.68倍(P=0.0001)であった。すなわち40才以上の男性においてHBeAg,Abマーカーの状態により,予後に著しいちがいがあることが示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

生命保険学会発表予定:昭和62年5月13日
その後Gastroenterologyに投稿予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特定集団において毎年収集される健康に関する情報を併合解析し,健康を保持するための指針をさぐる。
昭和61年度は肝硬変,肝癌死亡に与える各種要因について解析し,両疾患の予防に資する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

駒澤 勉

統計数理研究所

斉藤 宣照

国鉄中央保健管理所

佐久間 光史

国鉄中央保健管理所

実川 浩

国鉄中央保健管理所

富田 真佐子

国鉄中央保健管理所

馬場 康維

統計数理研究所

原 由利恵

国鉄中央保健管理所

原渕 泉

札幌鉄道病院

山口 百子

国立健康栄養研究所