平成282016)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

28−共研−1023

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

4

研究課題名

複雑系の秩序変数の臨界緩和解析

フリガナ

代表者氏名

カソノ カツミ

加園 克己

ローマ字

Kasono Katsumi

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

医学部医学科

職  名

講師

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的: 有限温度における液晶相や磁気相を、ある秩序状態から別の秩序状態へと緩和させる非平衡緩和シミュレーションを行う.これより,平衡状態における相転移点と臨界点上の物を,計算時間数に応じて,詳しく知る事ができる.
 2次元強磁性q=10状態のポッツ模型は1次相転移を起こす.q=4では2次相転移となる.
臨界現象と非平衡緩和の計算を行い,クラスター間の相互作用を取り入れたマルチグ
リッド法の有効性を検証する.マルチグリッド法の有効性は,単独クラスター法によるモンテカルロ法との比較を行い,確かめる.

経過と成果: 正方格子模型の転移点Ttにおいて,マルチグリッドタイプのモンテカルロ法を行った.初期状態は秩序相より,無秩序相よりの 2タイプを選び,転移点下で緩和させる.マルチグリッド法では,生成するクラスター間の相互作用が長距離相互作用になり,クラスター間の相互作用のない単独クラスター法((系のサイズ256x256のSwandsen-Wang)に比べて数十倍計算速度が低下したことを確かめた.系のサイズが大きくなるとマルチグリッドの方が,物理量の緩和時間が原理的にずっと速く有利になるので,同じ質のデータを得るための計算効率を測るには,系のサイズも大きくして確かめる必要がある.しかし長距離相互作用があると計算できる系のサイズも強く制限されてしまう.よって長距離相互作用が生じないアルゴリズムへの改良を試みた.
 まずはq=4模型について系のサイズを計算を試行したが,現状では,長距離相互作用の生成は抑制できるが,そのためのクラスタの変換過程に時間がかかり,単独クラスター法の方が計算時間は短く,有利となっている次第である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小野 いく郎

東京工業大学

田村 義保

統計数理研究所