平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−98

専門分類

8

研究課題名

言語の文法構造のデータの統計解析

フリガナ

代表者氏名

ウエダ スミエ

上田 澄江

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

角田(1991)による「世界の130の言語の語順表」には、19項目にわたる語順の特徴がまとめられている。それらは言語の系統による分類を示唆しているとともに、言語が変化していく過程を暗示しているようにもみえる。言語学的な立場からこの語順表の数値化をより明確にし、文法構造について解析をおこなう。


言語を語順規則からみたとき,「側置詞と名詞」の順序が分類に関わる重要な指標であることが従来から指摘されてきた.角田の19項目にわたる語順表のデータ130言語を日本語と同順序の語順をもつか,或いは対立する語順をもつかに着目して分析した結果は,
項目2「側置詞と名詞」が分類に最もかかわる項目であることを裏づけるものであり,さらに項目5「数詞と名詞」の順序と,項目15「疑問詞」の位置がそれに続くことを導いた.項目2と5の2つの語順によって4グループ分割をおこなうのが,それぞれのグループの相違を最も有効に表現するものである.これらは,階層クラスタ分析,主成分分析,分割表データにおける変数選択の方法を用いて解析した.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

共同研究リポート70,1995.3。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

この語順表を用いた解析により、言語の系統による分類の指標として前置詞(to school の‘to’)や後置詞(学校への‘へ’)が重要な役割を担っていることがわかった。名詞と前置詞・後置詞との関係が世界の言語をほぼ2分し、双方が独立にいくつかの語順に関して対照的な特徴をもつ。
語順表における表現は項目によっては多岐にわたっていて単純な数値化が困難である。この語順表を作成した共同研究者とともに各項目の数値化を再検討し、より適切で単純な数値化をおこなうことにより、言語間の構造の特徴が更に顕著になるものと予想される。その上で、シミュレーションによる言語の構造のランダム生成と比較する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

角田 太作

東京大学