昭和611986)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

61−共研−64

専門分類

8

研究課題名

新しい政治社会動向を探る統計的アプローチに関する研究

フリガナ

代表者氏名

キョウゴク ジュンイチ

京極 純一

ローマ字

所属機関

千葉大学

所属部局

法経学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

14 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

政治意識調査データや社会統計データを用い,政党勢力の消長を含む政治社会現象を予知・予測する統計的方法の検討を行なう。過去のデータを組織的に収集分析するほか,最近の日本の政治の国際政治移行への要請が,有権者の意識と行動に早期徴候としてどう現れているかを探り,今後の政治対応過程を,見定めていく試みとする。


1.世論調査データ・社会統計データの時系列分析を行い,政治社会現象の変化,変化の中心になっている世代・階層の検討を行った。
この段階で明らかになったことは,生活満足感の上昇によるいわゆる生活保守意識の台頭である。総理府調査による「生活満足度」は7割をこえ,年々上昇の傾向にある。人々の関心は「物」から「心の豊かさ」へ,具体的には健康やスポーツ,趣味,レジャーという生活の質的向上へ転換しつつある。あらゆる世代・階層にこのような傾向がみられるが,とりわけ若年世代に顕著である。
このことが,政治への関心や行動の保守化を促していることが明らかに析出される。特に近年の若年世代の政治的保守化は著しい。
前後9回のメンバー全員による分析検討会では,若年世代の政治意識,生活意識を検討主要軸として分析した。
2.若年世代の意識の変化にかかわるデータの分析に加えて,事例研究として50ケースの面接調査を行った。
この調査から(1)若年世代は生活中心の価値観をもっている。(2)若年世代は社会的にも政治的にもそう不満のない人生を過してきている。(3)今後の目標は自己の生活をより高めることであり,政治的社会的欲求は低い。(4)政治や社会に関心をもち,これに参加していくことは,若者風にいえば“おしゃれ”ではない,というような感覚のあることがわかった。
もっとも,職業や家庭をもつようになると,意識はかなり違っており,若年世代の全てが政治や社会に無関心という訳ではない。
ただ,60年代,70年代の若者と違って,政治や社会のあり方が必ずしも政治的・社会的価値観形成の主要因として影響はしていないことが明らかになった。
3.今後,これらの世代がどう変化していくか,他の世代・階層においてはどうか,投票行動など政治社会現象としてあらわれてくる徴候をとらえ,近未来現象を予知・予測する方法の検討を更に深めたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

当年度中の発表なし。
62年度または63年度に学会大会,学会誌のいずれかに成果発表する予定。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

政治意識調査データや社会統計データを用い,政党勢力の消長を含む政治社会現象を予知・予測する統計的方法の検討を行なう。過去のデータを組織的に収集分析するほか,最近の日本の政治の国際政治移行への要請が,有権者の意識と行動に早期徴候としてどう現れているかを探り,今後の政治対応過程を,見定めていく試みとする。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飽戸 弘

東京大学

岡本 宏

明治学院大学

茅野 修

東京大学

加留部 清

(社)興論科学協会

岸川 茂

(社)興論科学協会

児島 和人

東京大学

駒澤 勉

統計数理研究所

鈴木 達三

帝京平成大学

谷口 哲一郎

(社)興論科学協会

林 知己夫

統計数理研究所

林 文

東洋英和女学院大学

広瀬 弘忠

東京女子大学

水野 欽司

大学入試センター