平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−73

専門分類

7

研究課題名

循環器疾患のリスク要因に関するコホート研究

フリガナ

代表者氏名

タカギ ヒロフミ

高木 廣文

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

高齢化が進む中で,循環器内科の臨床の場では,従来から言われている発生リスクの対策はある程度浸透しているにもかかわらず,動脈脈硬化性疾患の増加が大きな問題になっている。本研究は,三重県内の特定地域を研究対象地域とし,当該地域の成人住民について,長期コホート研究を実施し,循環器疾患発生要因を疫学的に明らかにすることを目的とする。


三重県度会郡南勢町住民を対象としたコホート研究は,前年同様に継続実施中であるが,本年度は主に生活習慣調査に用いる尺度項目の検討を中心に行った。
とくに,生活習慣尺度を改定した影響を検討するために,1994〜1996年に全国の29都道府県115地域・施設で収集した約6万5千人の調査データを用いて,各尺度の信頼性と因子構造について分析した。
各尺度の信頼性係数も改訂前後で変化がないか増加した尺度が多く,項目数の減少による各尺度の信頼性の低下は小さかった。ただし,極端に信頼性係数が減少した尺度もあり,そのような尺度では,項目内容の再検討がある程度は今後必要かもしれない。
生活習慣尺度の因子構造は,改訂前との因子比較の結果,ほぼ同一の共通因子構造であることが示された。因子得点の年齢群別平均値に有意差が男女共に認められた。各因子を代表する総合尺度の信頼性係数は比較的高く,対象者へのフィードバック時での使用に問題はないものと考えられた。
生活習慣を簡便に測定することは,地域住民の健康教育や疾病予防の指導において,極めて重要であると考えられる。より信頼性が高く,有用な生活習慣調査票となるように,今後も継続的に尺度項目などの検討を行う予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

コホート集団として,三重県度会郡南勢町在住の成人健康者を対象とする。調査期間は平成5年4月1日から平成18年3月31日までの13年間を予定している。循環器系疾患の死亡率や発生率をもとに,統計学的に適当な検出力で同定できる標本数から,具体的な対象者を設定し,質問紙に含める検討項目の設定と数量化,また身体状況や血液検査項目などの臨床調査項目の設定など疫学調査として適当な調査デザイン作成を行い,平成5年8月に第1回目の調査を実施した。既存の循環器系疾患のリスクの知見とともに,近年の生物統計学の知見が必要である。平成8年度まで同様な調査を実施し,ベースラインデータの収集を行った。予定よりベースラインのデータ収集が遅れているので,平成9年度も同様な調査研究を継続する。統計学のみならず,地域医療の実践が不可欠であり,他施設との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

垣本 斉

三重県度会郡南勢町立病院

国吉 幹夫

三重県度会郡南勢町立病院

佐藤 俊哉

統計数理研究所

中野 赳

三重大学

松村 康弘

厚生省国立健康・栄養研究所