昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−10

専門分類

1

研究課題名

ノンパラメトリック及びロバスト推測の研究

フリガナ

代表者氏名

カシワギ ノブヒサ

柏木 宣久

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

従来の母数モデルでは表わせないような性質についての推測問題の研究および仮定される母数モデルと真の分布とのずれに対してロバストな統計手法の開発を行う。さらに母数モデルの適合度検定について,標本分布が母数モデルに漸近的に依存しないような統計手法の研究を,理論的な面および計算機を用いたシミュレーション等によって行う。


定期的にセミナー等を開き,活発に共同研究を行った。その結果以下に述べるような成果が得られた。
(1)[0,1]上のブラウン運動の〓ノルムの分布関数,確率密度関数,パーセント点の表現式を求めた。
(2)(1)の理論的な結果に基づき,数値計算を行い,パーセント点の数表及び確率密度関数のグラフを作成した。
(3)(1)の方法とは独立に,シミュレーションによりパーセント点の数表を作成し,(2)の結果と比較した。
(4)ガウス過程の〓ノルムの尾部確率の評価に関する理論的な結果を得た。
以上の成果は,それ自身確率論的に興味のあるものであるが,以下に述べるような幅広い統計的応用がある。
経験過程のマルチンゲール項(Aki(1986)Ann.Inst.Statist.Math.),推定された経験過程のマルチンゲール項(Khmaladze(1981)Theory Prob.Appl.),Aki(1987,Ann.Inst.Statist.Math.)によって定義された確率過程等は,帰無仮説の下でブラウン運動に弱収束する。従って,これらの確率過程の〓ノルムを統計量にすることにより,(1),(2)の結果を用いて適合度検定を行うことができる。また,(3)の方法が実施できたことは,統計量を作る際に,重み付き〓ノルムを選べる可能性を示唆している。さらに,(4)の結果を用いることにより以上のような統計量の漸近効率を計算することができる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

安芸重雄,柏木宣久:Asymptotic properties of some statistics based on empirical distribution functions[The 205th IMS meeting],Honolulu,U.S.A.1988.6.
安芸重雄:〓ノルムを用いた適合度検定について[日本統計学会]1988.7.
安芸重雄,柏木宣久:Asymptotic properties of some goodness−of−fit tests based on the 〓−norm[Research Memorandum No.352]1988.6.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上の目的を達成するために,次の事を行う。
1.理論的な新しい結果やアイデアを交換するため,セミナー等を定期的に実施する。
2.計算機を用いて,従来の手法のチェックおよび新しい手法の開発を行う。特に具体的には,母数モデルの適合度検定統計量として,経験過程のマルチンゲール項とそのsequential processの〓−ノルムの漸近分布についての理論的考察と,計算機によるシミュレーションを通しての検証を行う。
以上の計画を実施するためには,統計数理研究所の豊富な文献と計算機システムの使用が不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安芸 重雄

大阪大学

久保木 久孝

電気通信大学

仁木 直人

東京理科大学

松下 嘉米男