昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−30

専門分類

6

研究課題名

岩石破壊実験とその時系列データの解析

フリガナ

代表者氏名

オガタ ヨシヒコ

尾形 良彦

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

岩石破壊実験は室内に於ける地震発生実験ともいうべき意義を有している。アコースティックエミッション(A.E.)は岩石に圧力をかけておきるクラックの振動をとらえ,その規模と発生時刻等を記述,解析をするものである。今回の共同研究の特色はこれらを点過程データとして解析することである。良く計画された素状の明確な実験データに基き,究極的には地震発生のメカニズムをとらえることを主目的とする。


実験室での岩石の微小破壊時に発生する微振動をアコースティック・エミッション(A.E.)と言う。破壊発生の確率過程として地震もA.E.もスケール変換によっては不変である。つまり自己相似(フラクタル)であることが明らかになってきている。このことから岩石の破壊実験時に発生するA.E.は,地震発生の確率過程をシュミレーションしているスケールモデルと考え得ることを意味する。
実験室でのA.E.データは,地震のデータに比較し,応力や温度あるいは水の存在などをコントロールでき,自然地震では不可能な破壊の物理条件を厳密に設定できる。したがってA.E.のデータを統計解析することによって,応力や温度の破壊の発生確率過程に及ぼす影響を意図的に調べることが可能である。また,統計解析をおこなう場合に必要とされる,データの完全性均質性が,自然地震と比較してより良く保証される。
従来は大きさ規模をも含めたA.E.の発生時刻を一点一点決めることは,データ計測の高速処理を必要とし困難であった。しかし共同研究者たちはマイクロコンピュータを使った計測装置を製作し,かつアセンブラ−レベルで製作したプログラムを使用することによって高速データ処理を行なってA.E.時系列を計測することを可能にした。また本共同研究の代表者は,いままで,地震の発生を点過程と考え,いくつかの統計モデルを検討してきた。
このたび我々は実験された岩石破壊時のA.E.の時系列のデータの解析をおこなってきた。岩石の破壊過程の統計モデルを明らかにして,かつ自然地震で得られたものとを比較することにより,メカニズムの類似性あるいは相違を明らかにしつつある。ひきつづき,積極的に統計解析をしていくことにより,破壊の物理メカニズムの解明が期待される。最終的には,そうして得られたモデルによる地震の統計的予知を目的としている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平田隆幸,(1986)。破壊実験からみた地震現象,
数理地震学(地震学における統計数理モデル研究会成果報告書)
統計数理研究所


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

地質調査所におけるA.E.発生機器とマイクロコンピュータを連動させ,A.E.の発生時系列データを収集する。このデータを統計数理研究所におけるマイクロコンピュータで変換を行なう。作成された点過程カタログを代表者作成の統計ソフトウェアによって解析する。
全体としてA.E.と地震発生過程との類似点に注目することによって,地震データそのものには不可能なデータの物理的な再現性を有効に使って,地震等の予知等に応用したい。このような研究は従来にはなかったものであり,今回の共同研究は当研究所において外は不可能であろう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

西澤 修

通産省工業技術院地質調査所

平田 隆幸

筑波大学