平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−36

専門分類

3

研究課題名

先進国自動車産業発展過程の時系列分析−需要と供給のサイクルについて

フリガナ

代表者氏名

ソウ トクヒツ

Cao Debi

ローマ字

所属機関

東京工業大学

所属部局

大学院社会理工学研究科

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1888年フランスのルバッソルとパナールがドイツのゴットリープ・ダイムラーの自動車特許を購入し、世界初の自動車工場を建てて以来、フォード、GM、豊田などの発展に代表されるように、大きな産業となっている。しかし、一部の先進国においては自動車の需要の周期的に変動しているために、世界規模の企業ながら悪戦苦闘している。本研究ではこの自動車の需要の周期的な変動の原因を時系列分析により解明し、企業戦略の制定に一つの指針を与えることを目的とする。


本研究では、自動車(4輪)の主要生産国(USA、Japan、UK、Canada、France、Germany、Italy、Sweden、Spain)の自動車生産量データから変動周期を分析した。
その結果、70年代から世界トータルと一部分の国では強い周期性が見られ、平均サイクルはアメリカが5.2年、イギリスが4.8年、カナダが6.3年、フランスが4.2年、ドイツが4.3年になり、日本、スウェーデン、イタリア、およびスペインでは周期性が見られなかった。
その内、日本は85年を山に、その前は継続的増産、その後は継続的原産が見られ、スウェーデンは緩やかな継続的 増産に小さなばらつき、イタリアとスペインは緩やかな継続的増産にスウェーデンより大きなばらつきが見られた。
生産規模から見ると、50年代まではアメリカが全体の7〜8割りを占めており、60年代からは日本とアメリカが7〜8割を占めており、アメリカと日本の生産量の変動が世界トータルの生産量の変動周期を決めている。
自動車生産量の周期変動の原因については景気循環が挙げられるが、逆に自動車生産販売量が景気予測の指標として使われているなど、互いに入れ子になっているため、景気循環により自動車生産の予測をすることは困難である。
また、日本の自動車生産が85年以降減産しているのは、日本企業の北米進出及びアメリカとカナダの生産量が80年代後半から急進していることを考えると、プラザ合意以降の円高による自動車生産の海外シフトの影響ではないかと考えられる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

まず、アメリカと日本の自動車産業の年次生産台数と出荷台数のデータを分析し、変動周期を求める。次にForistらが景気循環曲線の分析方法によりこの周期性を分析する。変動周期性には自動車のライフサイクルや国家の経済政策が多きく影響すると考えられるので、これらの要因を加味して統計的分析を行う。この分析に基づいて新しい周期変動モデルを提案し、新製品開発周期など新しい要因を増やして時系列分析を行い、それによりこの周期性を解明することを目指す。また、この分析によって周期性に影響を与える要因を明らかにする。研究の各段階では統計数理研究所の多様な統計パッケージを利用して計量的分析を行うことにする。また、統計数理研究所の優秀な頭脳達のアドバイスも頂きながら研究を進めていきたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Jiang Xing-Qi

旭川大学

鄭 躍軍

統計数理研究所