平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−4

専門分類

1

研究課題名

ウィナー空間上の無限次元確率解析(マリアヴァン解析)の研究

フリガナ

代表者氏名

タニグチ セツオ

谷口 説男

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

大学院数理学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

概複素構造を持つ抽象ナー空間内の部分多様体上での確率微分幾何学の展開を目指す。ウィナー空間内のウィナー測度に特異な測度(条件付確率)の台として定まるこの無限次元多様体上にマリアヴァン解析を用いてケーラー計量を導入しその複素幾何学的構造を明らかにしたい。ループ群上での確率解析への援用についても考えたい。


抽象ウィナー空間の複素幾何学的構造、またその部分多様体上での無限次元確率微分幾何学の構築を目指して研究を行った。最近、共同研究者らにより多くの新しい結果が得られている。これらの多様な研究成果を交流する目的で、平成7年1月26、27日に研究集会「ウィナー空間上の無限次元確率解析(マリアヴァン解析)の研究」を開催した。講演題目及び講演者は以下の通りである。
1.抽象ウィナー空間内の超曲面のリッチ曲率について(谷口説男、九大) 2.超対称性とウィナー汎関数空間(三苫至、佐賀大) 3.複素ウィナー空間に於ける正則除外集合とFeyel-de La Pradelle の調和容量について(杉田洋、九大 4. L^p-holomorphic functionの絶対連続性と特異性(高信敏、金沢大) 5.Pertubation of a hypercontractive semigroup(重川一郎、京大) 6.無限体積極限下でのスペクトルギャップの評価について( 会田茂樹、東北大)
1 に於いて、抽象ウィナー空間内の部分多様体のリッチ曲率は必ずしも有限次元多様体のリッチ曲率の様には幾何学的な量ではないことが示された。3,4 においては、概複素構造を持つ抽象ウィナー空間では、複素幾何学的な考察の可能なことが示された。2,5,6 では部分多様体上のラプラシアン(微分形式に作用するものも含む)が考察された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Setsuo TANIGUCHI (谷口説男) On almost complex structures on abstract Wiener spaces, 投稿中

谷口説男,On almost complex complex structures on abstract Wiener spaces,京大数理研共同研究集会「Wiener空間上の確率解析とその応用」,6年6月10日
谷口説男,抽象ウィナー空間の正則除外集合を特徴付ける集合関数について,科研費シンポジウム「確率解析」,6年10月12日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)有限次元複素多様体上のケーラー計量に対応する概念を概複素構造を持つ抽象ウイナー空間内の複素部分多様体(無限次元スタイン多様体)上に確立する。(2)そのためには、条件付確立の台の解析的構造、特にその接空間の構造を解析することが肝要である。(3)上述ケーラー計量を用いて歪複素微分作用素に対するヘルマンダー型のL2評価式を確立し、ドルボー型の定理を構築し、この無限次元スタイン多様体のコホモロジー群について調べる。
この研究を実行にするに当たっては、(2)の条件付確率の研究が重要であるが、それには数理統計学の基礎理論とマリヴァン解析の緊密な協力が非常に有益であり、当研究所の清水教授、志村助手との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

会田 茂樹

東北大学

楠岡 成雄

東京大学

重川 一郎

京都大学

清水 良一

統計数理研究所

志村 隆彰

統計数理研究所

杉田 洋

九州大学

高信 敏

金沢大学

濱名 裕治

九州大学

三苫 至

佐賀大学