平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−33

専門分類

3

研究課題名

非線型現象のシステム設計と予測解析の確率過程論的研究

フリガナ

代表者氏名

オカベ ヤスノリ

岡部 靖憲

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院工学系研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

KM2O−ランジュヴァレ方程式論を複雑系現象の時系列データに適用して、この背後にある定常性、カオス性、因果性の性質の有無を調べ、それによって得られたモデルに基づいてその将来を予測することを目的とする。


KM2O-ランジュヴァン方程式論に基づく非線形時系列解析はマサニ・ウィーナーの1次元強定常過程に対する非線形予測問題の研究に依存していた。彼等が対象とした強定常過程は大域的な確率過程である。実際のデータは有限個の観測値からえられる。後者のことを考えて、有限個のデータ解析に適用できることを目指して建設したのが KM2O-ランジュヴァン方程式論であった。しかし、最初に述べたように、時系列解析においては、理論と現場の間にギャップがあった。
この問題点を克服するために、有限個の確率変数からなる1次元確率過程に対して、その非線形情報解析を徹底的に行い、確率変数のサンプルが有界という条件のみで、非線形情報空間を生成する無限次元の確率過程を(マサニ・ウィーナーが用いた)連続関数の多項式近似定理を用いることによって構成した。
さらに、退化した流れに対する KM2O-ランジュヴァン方程式論を、データ解析において用いていたウェイト変換の考えを用いて展開することに成功した。このことによって、マサニ・ウィーナーの非線形予測問題の研究で仮定されていた「有限次元分布の支えのルベーグ測度は正」という条件は必要なくなり、1次元局所的確率過程で確率変数のサンプルが有界なものに対する非線形予測子を計算するアルゴリズムが KM2O-ランジュヴァン方程式論を応用して得られたことにより、外的問題に対する非線形予測問題は解決された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Y.Okabe and T. Yanase, The theory of KM2O-Langevin equations and its application to data analysis (III) : Deterministic analysis, Nagoye Math J.,152(1998),175-201
Y.Okabe, On the theory of KM2O-Langevin equations for stationary flows(1):characterization theorem, to appear in J. Math Soc Japan
Y.Okabe, On the theory of KM2O-Langevin equations for stationary flows(2):construction theorem, to appear in the special volume in honor of the 70th birthday of Prof T.Hida

岡部靖憲,KM2O-ランジュヴァン方程式論と非線形予測問題,科研費研究会「形式的方法にする複雑系数理の基礎研究」(研究代表者:辻下徹),1999年3月6日
岡部靖憲,KM2O-ランジュヴァン方程式論と非線形情報解析,科研費研究会「複雑系現象と実証分析」(研究代表者:久保泉),1998年9月25日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

KM2O−ランジュヴァレ方程式論は、最近その基礎的部分が、特徴付定理、構成定理、延長定理の3つとして整備されてきた。さらに(非線型)因果解析の応用として、時系列データの時間発展が決定的であるかどうかを判定し、その際、ダイナミクスを求めるアルゴリズムが得られたことにより、従来のカオス的時系列解析で用いられる。埋め込み次元の問題が解決する見通しが得られた。これはひとつのモデリングの問題と関係し、統計数理解析研究所で開発されたAIC情報量基準との関わり方について、統計数理研究所で共同研究できることは有意義であると考えます。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

木方 行郎

石原産業株式会社

四方 義啓

名城大学

清水 良一

統計数理研究所

堀田 武彦

東京大学

松浦 真也

東京大学大学院

山根 敏志

東京大学大学院