平成222010)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

22−共研−5002

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

生物群集の多様性と統計数理

フリガナ

代表者氏名

シマタニ ケンイチロウ

島谷 健一郎

ローマ字

Shimatani Kenichiro

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

准教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

1 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

2010年はCOP10(生物多様性国際会議)が日本で開催され、生物多様性の消失という地球環境問題への関心は著しく高まった。ところが、実際のところ、生物群集の多様性を扱う群集生態学は、現存する生物群集の多様性維持機構を説明できないという恐るべき状況にある。確かに定説は数多く見られる。しかし、いずれも実データと統計数理に基づく検証を経たものではなく、科学と呼ぶのに抵抗を感じさせるレベルなのである。当然、稀少種の存在を説明する有力な仮説もなく、当然、その保全政策も提唱できない。
 本研究集会は、群集生態研究者が現在までの研究成果を振り返り自らの研究試行を意見交換することで、まずこの恐るべき現実を認識し、その打破へ向けた研究を軌道に乗せることに置いた。
 当日のプログラムは、生態学研究者にもわかる最近の統計手法の解説講演と、若手研究者による実データを扱った研究発表、そして大学院生による途上にある研究の短いプリゼン、の3つの構成で行った。

統計数理に関する解説
集団遺伝学とCoalescent理論 角 友之(総研大)
空間データとエシュロン解析 石岡 文生(岡山大法)
角度観測値を含むデータの統計的モデリング 阿部 俊弘(統数研)
角度データの回帰分析 加藤 昇吾(統数研)
森林管理と最適化モデル 吉本 敦(統数研)
調査・実験のデザインに課せられる制約を解き放つための統計的モデリング 岸野 洋久(東京大)

研究発表
系統樹多様性指数と微生物群集への適用 小谷野 仁(大学入試センター)
樹種多様性の緯度・標高勾配 塩野 貴之(横浜国大)
植生と環境要因が地上徘徊性昆虫の群集構造と多様性に与える影響 小粥 隆弘(筑波大)
泳ぐ群集 林 亮太(千葉大)・山口 幸(総研大)
ヤンバル地域の林道における外来アリと甘露排出者の共生関係解析 田中 宏卓(琉球大)

大学院生による途上研究紹介
竹内史郎(北海道大)、井上太樹(北海道大)、杉浦里奈(名城大)、太田藍乃(横浜国大)、
杉浦大介(東北大)、岩下華子(長崎大)、渡邉謙二(横浜国大)、有本勲(東京農工大)、
片山直樹(東京大) 、柴田泰宙(横浜国大)

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

解説講演を中心に、録音し、テープを起こし、編集し、最後に演者による確認を経て、共同研究リポート263「生物群集の多様性と統計数理」として発行した。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関