平成212009)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

21−共研−1009

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

3

研究課題名

データベースを用いた医薬品のリスク解析

フリガナ

代表者氏名

フジタ トシハル

藤田 利治

ローマ字

Toshiharu FUJITA

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【目的】
欧米では、公的医療保障(Medicaid)、健康保険組織(HMO)、一般医師の協力を基礎とした地域や病院の医療データのデータベースが数多く構築され、薬剤のベネフィット・リスクのバランスを最適化するために活用されている。一方、日本には、公開されている医薬品の安全性データベースが存在しないために、副作用の仮説生成、仮説強化、仮説検証といった医薬品リスク評価を効率的に実施することが難しい。また、関連する研究も停滞しており、欧米諸国と比べて医薬品の実証的リスク評価が極めて遅れた状況にある。本研究では、リスク解析戦略研究センターで構築を行っている市販後の使用成績調査のデータベースなどを使用して、医薬品領域における定量的リスク科学の実際的な検討を行なう。
【経過】
市販後医薬品の使用成績調査データベースの活用を進めるとともに、市販前の臨床試験データベースの構築を推進した。後者の公表と共同研究の推進に向けて、降圧薬の臨床試験データベース構築についての論文発表を行った。
また、数年以内に構築される予定のレセプトデータのナショナルデータベースを薬剤の安全確保に活用すべく、その必要性についての学会発表を複数行った。また、健康保険組合のレセプトに基づく患者診療データウェアハウスを構築している企業からデータの有償提供を受け、薬剤の安全確保のためにレセプトデータを統計解析可能な状態に整備した。そして、同一薬剤の重複処方、併用禁忌の薬剤組合せの併用処方の実態を明らかにし、また薬剤による有害事象発生についての薬剤疫学研究を試行的に実施した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
・ 藤田利治.副作用評価におけるシグナル検出.薬剤疫学 14: 27-36,2009
・ 藤井陽介、柴山和弘、藤田利治、椿広計.降圧薬の臨床試験大規模データベースの構築,薬剤疫学,14:79-88-,2009.
学会発表
・ 藤田利治.医薬品の安全性の改善には大規模な情報基盤が不可欠:薬剤疫学の立場から.保健医療情報学国際共同会議広島2009;2009年11月;広島.保健医療情報学国際共同会議広島2009プログラム・抄録集.JC-431.
・ 藤田利治.レセプト情報の医薬品の安全確保への二次利用.第3回横幹連合コンファレンス;2009年12月;仙台
・ 藤田利治.医薬品の安全対策でのデータマイニングの活用.第3回横幹連合コンファレンス;2009年12月;仙台
・ 藤井陽介、藤田利治、椿広計.臨床試験データベース構築とその活用.情報とシステム2009;2009年11月;東京.PROCEEDINGS.P94.
・ 藤井陽介、逸見昌之、藤田利治.単剤・併用を伴う臨床試験の重み付け傾向スコア法による交互作用の評価.2009年度統計関連学会連合大会;2009年9月;京都,講演報告集、p114.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

宇賀神 諭

NTT東日本関東病院

折井 孝男

NTT東日本関東病院

田邉 直人

NTT東日本関東病院

比江島 欣愼

東京医療保健大学