平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−70

専門分類

7

研究課題名

疫学研究における生物統計手法の最近の発展

フリガナ

代表者氏名

サトウ トシヤ

佐藤 俊哉

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

疫学研究では、研究計画、結果の解析について統計的な考え方のみならず、医学・疫学的考え方が不可欠であり、それなしでは研究計画や解析計画を立てることができない。最近になって、医学・疫学情報を事前情報としたデータ解析法が積極的に用いられるようになり、効率よく正しい解析が実施されている。本研究では、最近の疫学理論の発展にともなった疫学研究における生物統計手法についてまとめを行う。


疫学研究で問題となる離散データの解析について、肝細胞がんのケース・コントロール研究を実施し、解析を行った。その結果、よく知られているB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスに現在感染していることが肝細胞がんの強いリスクファクターであると同時に、過去にB型肝炎ウイルスに感染した経験が肝細胞がんのリスクファクターであることがわかった。
また、最近関心をよんでいる環境中の発がん物質と考えられている、電磁場、ダイオキシンなどに関する疫学研究の現状と、方法論的な問題点のまとめを行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Okada, S., Sato, T., Okusaka, T., Ishii, H., Ikeda, M., Nakasuka, H., Kosakamoto, H., Yoshimori, M., and Wakabayashi, K. Past exposure to hepatitis B virus as a risk factor for hepatocellular carcinoma in patients with chronic liver disease. British Journal of Cancer 77, 2028-2031, 1998.
山本精一郎. 環境発がんに対する疫学的アプローチ. 癌の臨床 44, 1485-1495.

佐藤俊哉 (1998). Peto One-Step 推定量の漸近バイアス. 応用統計学会・日本計量生物学会1998年度合同年次大会, 東京, 中央大学駿河台記念館.
佐藤俊哉 (1998). 疫学研究における離散データの解析. 第66回日本統計学会, 東京都, 中央大学.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

疫学研究の考え方はここ10年で急速な発展を遂げ、その成果は Rothman & Greenland 著 ModernEpidemiology 第2版(1997)にまとめられている。主要な点は、ケース・コントロール研究の正しい解釈、疫学パラメータの精密な定義、研究の妥当性の保証、観察研究での因果推論、などである。これらの理論的成果が、研究デザイン、データ解析に活かされている。われわれは、この成書を翻訳するためのプロジェクトを組み、今年度中に全文の翻訳を実施することを目標とする。この翻訳にもとづいて、生物統計家、疫学研究者との討論を行い、今後の疫学理論の発展、疫学研究でのデータ解析方法の考え方について検討する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

津田 敏秀

岡山大学

本田 純久

長崎大学

山本 精一郎

国立がんセンター研究所