平成172005)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

17−共研−12

専門分類

5

研究課題名

微細溝加工を施した鉛直平板を流れ落ちる液膜流の熱輸送特性

フリガナ

代表者氏名

アダチ タカヒロ

足立 高弘

ローマ字

Adachi Takahiro

所属機関

秋田大学

所属部局

工学資源学部

職  名

講師

所在地

TEL

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研究目的と成果の概要

平板上を流れる薄い液膜流れでは、固体壁に接していない側では自由表面となって
おり容易に波が発生する。このような波動現象や液膜を介した熱輸送現象は、非線形
現象の代表的な例である。自由表面での波が不安定な場合には、初めは小さな振幅の
波でも時間の経過とともに振幅は大きくなり、最後には液膜が破断することがある。
また、ある程度大きな有限振幅の波にはソリトンやカオスとして知られている規則的
あるいは不規則的なパターンが液膜表面に現れる場合がある。工学的には、このよう
な流れの乱れを人為的に誘起して伝熱を促進させる目的から平板上に微細加工を施す
ことが行われる。
 本研究では、微細加工を施した平板上を流れる液膜流についてVOF(Volume of Fluid)
法を用いた数値計算により数値データを集め、得られた結果の統計数理解析を行うこ
とで、液膜流の表面物性および熱輸送特性と微細加工のピッチ等との関係を明らかに
することが目的である。
 今年度は、有限差分法を基にHSMAC法とVolume of Fluid(VOF)法とを用いた二次元
気液二相流れの数値解析コードを作成した。まず初めに,障害物のない平滑平板の場
合について計算精度のチェックを行った。平滑平板の場合には、ヌセルトの液膜理論
から得られる解析解と良い一致を示したことから今回作成したプログラムを用いて計
算した計算結果が信頼できる結果が得られていることがわかった。今後は、微細溝が
施された平板を流れるプログラムを作成し、液膜流の表面物性および熱輸送特性と微
細加工のピッチ等との関係を明らかにしていく予定である。その際に、計算の高速化
に取り組む必要がある。本計算プログラムでは気相と液層が共存する気液二相流れを
取り扱っており、気液界面が計算の進行につれて変化する移動境界値問題となってい
る。プログラム中では、この界面での位置決定や境界条件の設定等で複雑な条件分岐
を行っており、そのことが並列化やベクトル化の阻害因子になっている。中でも、圧
力に関するポアソン方程式の反復計算で、界面での境界条件を設定する必要があり,
全体の約40%の計算時間を費やしている。この部分では並列化の効率が特に悪いので,
高速化が今後の課題である。