平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−94

専門分類

8

研究課題名

縄文貝塚の時期・立地をもとにしたモデル作成

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサカツ

村上 征勝

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

世界各地で観察される先史時代の貝塚の中で,日本の,とりわけ千葉県に集中する縄文貝塚は,数においても分布密度においても,世界で有数なものである。
多くの研究者の努力により,多数の貝塚が発掘され,報告書等を通じて資料の発表がなされてきた。そこでそれらをまとめるデータベースを作り,それをもとに時期別・地域別のモデルを作り,広く環太平洋にみられる貝塚文化の中で,縄文モデルを提出したいと考えている。


原始・古代人の「ゴミ捨て場」であった貝塚は,当時の食料残存物をのこすだけでなく,土器・石器等の遺物や,住居址等を明らかにしてくれる生活址でもある。
日本全国に約1000を数える縄文貝塚のうち,その半分を占める千葉県の貝塚は,最近になり考古学者により貝塚遺跡台帳が作成された。一定の規準をもとに,多数の専門家が,踏査・文献調査を行い仕上げた台帳は,場所・現状・保存状況はもとより,時期・土器型式・出土遺物・貝・魚骨・獣骨等の情報が入っている貴重なものである。ところが,残念なことは,量が多過ぎることもあり,考古学者自身は,誰ひとりとして,このデータを利用していない。
そこでわれわれは,まずロータス1・2・3でデータベースを作成し,各項目別の単純集計を行ってみた。この集計だけでも面白いことがわかり,その一部は当研究所で開かれた研究会でも発表した(次ページ参照)。この集計を,もう少し詳細に仕上げた段階で,考古学協会の総会で発表したり,雑誌に投稿する予定である。
次の段階として,これら約400の貝塚を,時期別に分け,それぞれのモデルを作り,また,立地別(例えば海浜型・丘陵上型等)に分け,同じくそれぞれのモデルを作りたいと思っている。統計分析(主成分分析等)を利用しながら,なるべく単純なモデルを作成すれば,他の地域におけるモデル作成の刺激になろうし,もし完成すれば比較研究ができる。同じことを,外国(ニュージーランドやカリフォルニア)の貝塚にも言えよう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

「縄文貝塚のデータベース」村上征勝・植木武
文献情報のデータベースとその利用に関する研究会
統計数理研究所,1990年3月。
「千葉県縄文貝塚のデータベース解析」(仮題)
考古学雑誌の『史館』に発表を予定。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

約550の貝塚の情報(遺跡名・住所・立地・現況・出土貝・土器型式・出土遺物・自然遺物)をインプットし終え,やっとデータベース作成作業の完了をみた。目下,単純集計作業を予定しており,そのあとで時期別(早・前・中・後・晩期)立地別(海浜・台地上他)のモデル作成を行いたい。これらのモデルに有意義な差を認められるかどうかは,非常に興味がもたれる。また縄文モデルとして提出されれば,広く環太平洋でみられる貝塚文化との比較も可能となろう。
次の作業として,考古学者が提案している大型・小型貝塚の構造・機能問題にもふれてみたい。大型貝塚と小型貝塚のそれぞれの典型モデルを作成し,その相違を調べる。また平面的分布から,両者の間に何らかの機能的係りがあるかないかも,難しいテーマであるが調べてみたい。
モデル作成に関して,どうしても統計分析(数量化・クラスター・判別分析等)が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安達 新

八千代市郷土資料館

植木 武

共立女子短期大学