平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−49

専門分類

6

研究課題名

松代群発地震活動の時系列の統計的特徴

フリガナ

代表者氏名

ホソノ コウジ

細野 耕司

ローマ字

所属機関

気象庁

所属部局

地震火山部

職  名

主任技術専門官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1965年8月から2年間にわたり活動した松代群発地震は,古い火山地帯における水噴火という物理的過程によって生じたというのが定説となっている。未解析の時系列データを統計的手法により解析し,果たしてそのような物理的過程に調和するか否かを確認したい。


前回(2−共研−47)および前々回の共同研究(1−共研−54)では松代群発地震活動の時系列データをフロッピーディスクに入力し、入力ミスを見つけるためにいく種類かの解析を行い、データの完備に努めた。今回の共同研究では事象間隔の分布を調べてみた。
地震回数が3000個になるように期間を区切り、その期間内の地震の発生間隔の分布図を作成した。その結果、1965年8月から1966年9月までを48個の期間に分けることができた。もし、地震が、前後の地震と無関係に、でたらめに発生しているとすると、発生時間々隔の度数分布は片対数グラフ上で直線になるはずであるが、ほとんどの期間で直線的な分布はせず、非Poisson的な様子が見える。特に、活動開始から1966年の第1活動期には直線からのずれが大きく、非Poisson的な傾向が強く、地震は相互に強く関連しあっていると思われる。しかし、第2、第3の活動期のピークの期間では地震発生時間々隔の度数分布は片対数グラフ上でほぼ直線となり、相互の地震は無相関に発生していると思われる。つまり第1活動期と第2、第3の活動期のピークの期間では地震発生のメカニズムが異なると考えてよさそうである。なお、この解析により新たに数個のデータの入力ミスを発見したので、修正を行った。
また、入力したデータには震度も入っているので震度と振幅の関係も調べてみた。震度1のデータ47209個の最大振幅の平均値は18.2mm、震度2のデータ3404個の最大振幅の平均値は43.8mm、震度3のデータ168 個の最大振幅の平均値は67.0mm、震度4のデータ4個の最大振幅の平均値は70mmで、震度3までは、直線的な関係になるが、震度4からはその直線から大きく外れる。群発活動の最盛期の震度は、振幅を参考にして決めていたといわれているので、この結果から少なくとも震度3までは、地震記録の最大振幅を参考にして決定されていたと考えられる。震度のデータを用いる場合には、そのような事情を考慮する必要がある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

細野耕司、松代群発地震の発生時間々隔、地震観測所技術報告、No.12 、1992年


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

約15万個の時系列データをFDに入力し,時系列における活動パターンを見ると,従来知られている有感地震回数変化とほぼ類似している様子が見える。しかし,途中に欠測などの連続・均質データとしての欠陥があり,時系列解析を行うには,そのようなデータを扱う専門的な知識が必要であり,貴所のスタッフと共同で解析に当たらなければならないと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石川 有三

気象研究所

尾形 良彦

統計数理研究所

長田 芳一

地震観測所

北村 良江

地震観測所

小林 昭夫

気象庁地震火山部

成戸 健治

地震観測所

桧皮 久義

地震観測所

本間 直樹

気象庁地震火山部

涌井 仙一郎

気象庁