平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2069

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

推定関数の幾何学と統計学

フリガナ

代表者氏名

ヘンミ マサユキ

逸見 昌之

ローマ字

Henmi Masayuki

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

25千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究目的:
 統計的推論の構造や性質を(微分)幾何学的な立場から論ずる情報幾何学は、1980年代の甘利・長岡による記念碑的な仕事以来、統計学以外の情報関連科学にも影響を及ぼしながら徐々に進展してきているが、近年、また新たな展開を見せてきている。黒瀬・松添による「捩れを許す統計多様体」に関する仕事もその1つである。彼らの研究の主な動機は、量子推定論における密度行列族の幾何構造として自然に現れる、捩れのある双対アファイン接続を備えた多様体の性質を解明することであるが、このような構造は通常の統計的推論の基礎となる確率分布族にも、推定関数から(付随するプレコントラスト関数を通じて)自然に導入されることが、最近、本研究の代表者と分担者の共同研究によって示された。しかしながら、確率分布族におけるこの「捩れを許す統計多様体」の構造は、情報幾何学でこれまで議論されてきた幾何構造(Fisher計量とアルファ接続)とは異なるものであり、その統計的な意味や役割は、あまりよく分かっていない。
 本研究の主な目的は、統計学でよく用いられるいくつかの具体的な推定関数について調べることなどを通じて、推定関数による統計的推論における、その新たな幾何構造の意味や役割を明らかにすることである。また、「捩れを許す統計多様体」の一般論もまだ発展途上にあるが、本研究を通してその発展にも刺激を与えることで、統計学と数学との間でお互いに有益な交流となることも目指している。

研究経過:
 本年度は主に、幾何学と統計学の両方の側面から問題点の整理と確認を行った。その中で、いくつか解決の手がかりとなることが得られてきた一方で、また新たな問題点も見つかってきたので、次年度はそれらを含めて検討していく予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【論文】
Matsuzoe, H. (2013).
Quasi statistical manifolds
国際会議proceedings
Pure and Applied Differential Geometry - PADGE 2012:
In Memory of Franki Dillen, 208-214 (査読無)


松添,黒瀬 (2013).
捩れを許す統計多様体とアファイン分布の幾何学
京都大学数理解析研究所講究録 1834, 45-55(査読無)

【学会発表】

松添 博
統計多様体上の微分形式と統計的推論の幾何学
講演日:2014年2月19日
会議名:統計多様体の幾何学の新展開
場所:京都大学数理解析研究所

逸見昌之
推定関数と捩れを許す統計多様体
講演日:2014年2月19日
会議名:統計多様体の幾何学の新展開
場所:京都大学数理解析研究所

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

松添 博

名古屋工業大学