平成292017)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

29−共研−2052

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

2

研究課題名

離散型確率分布と連続型確率分布の接点に関する基礎的研究

フリガナ

代表者氏名

ツチヤ タカヒロ

土屋 高宏

ローマ字

Tsuchiya Takahiro

所属機関

城西大学

所属部局

理学部数学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

34千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究目的】
 本研究はバケットソートの変形版を表す漸化式を基礎とする研究である.バケットソートとは並べ替えるデータの取りうる値がk通りのとき,あらかじめk個の入れ物を用意するか,あるいは動的に増やしながら,各々の数字に対応した入れ物にデータを入れていくデータの並べ替えのアルゴリズムである.本研究の発端は,n個の連続した数字がでたらめに並んでいて,これらの並べ替えを行うためのアルゴリズムを考えたことによる.あらかじめ用意する入れ物の数を決めず,最終的に必要な入れ物数がデータの初期状態に依存する変形バケットソートを考案し,その入れ物数を表す漸化式と離散型確率分布を導出した.これをEulerian分布と名付けた.Eulerian分布は離散型確率分布であるが,連続型一様分布にしたがう確率変数の和の分布と関連し,正規分布の近似が通常の漸近展開で非常に良い精度で得られる.このことを利用すると,良質な疑似正規乱数を生成することが可能となる.
 上記の研究概要を背景として,Eulerian分布とその漸化式の代数学・離散数学的補強を行い,離散型・連続型確率分布を接続する理論を構築するとともに,それに基づく疑似正規乱数生成器の構築と実装,高速化および他分野への応用を検討することが本研究の目的である.

【成果】
 Eulerian分布は二項分布と比べて正規分布近似が非常に良い精度で得られ,同時に分布の裾についても広範囲な近似ができる.この優れた性質に基づき,分布の裾領域における乱数を生成するためのアルゴリズムを提案した.Eulerian分布とその性質,確率分布の裾の乱数生成方法,数値実験の結果を示した.今後の課題は提案手法の優位性について検証することである.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[1] 変形バケットソートに現れる離散型確率分布とEulerian数 (2009), 土屋高宏,中村永友,統計数理, Vol.57, No.1, 159-178.
[2] 変形バケットソートとオイラリアン分布の性質について (2012),土屋高宏,中村永友,第17回情報・統計科学シンポジウム,九州大学.
[3] 欠番オイラリアン分布とその基本統計量 (2013),土屋高宏,中村永友,札幌学院大学,情報科学,第33巻,38-45.
[4] ソーティング過程に現れる離散確率分布とその精密化 (2014),土屋高宏,中村永友,2014年度 統計関連学会連合大会,東京大学.
[5] Eulerian distribution with a missing number (2014),Takahiro Tsuchiya, Annual Workshop on Statistical Science and Related Topics. Josai University.
[6] Pseudo-Normal Random Number Generation via the Eulerian Numbers (2014), Nagatomo Nakamura,Annual Workshop on Statistical Science and Related Topics. Josai University.
[7] Eulerian distribution with a missing number (2015),Takahiro Tsuchiya, Josai Mathematical Monographs 8, 73-83.
[8] Pseudo-Normal Random Number Generation via the Eulerian Numbers (2015), Nagatomo Nakamura,Josai Mathematical Monographs 8, 85-95.
[9] 離散型確率分布を通した連続型確率分布にしたがう乱数の生成 (2015),中村永友,土屋高宏,日本計算機統計学会 第29回シンポジウム,釧路市生涯学習センター.
[10] 疑似乱数における局所一様性に関する統計的性質 (2016),中村永友,土屋高宏,日本計算機統計学会 第30回シンポジウム,沼津市プラサヴェルデ.
[11] 正規分布の裾の確率評価と乱数生成 (2017),中村永友,土屋高宏,札幌学院大学総合研究所紀要,4, 1-7.
[12] 正規分布の裾の確率評価と乱数生成 (2017),中村永友,土屋高宏,日本計算機統計学会 第31回シンポジウム,和歌山県立医科大学.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究共同者との研究打合せは実施したが,研究会は開催していない.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川崎 能典

統計数理研究所

中村 永友

札幌学院大学