平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2007

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

バイオロギング手法データに基づく猛禽類行動モデリング

フリガナ

代表者氏名

エノモト ヒロユキ

榎本 浩之

ローマ字

Enomoto Hiroyuki

所属機関

国立極地研究所

所属部局

研究教育系気水圏研究グループ

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

82千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、装着型の発信機や記録機によって野外で活動する動物の位置や行動を調べる手法(バイオロギング)の技術が急速に発展し、動物行動研究で扱えるデータの幅が格段に広がった。特に加速度を1秒以下の微細な時間スケールで計測する技術は、これまで困難であった海洋動物や鳥類の歩行・飛翔・着水・飛び立ち等の行動内容を膨大な時系列情報から抽出する事を可能にした。この技術をこれまで追跡が困難であった陸鳥類、特に大型の体サイズを有する猛禽類に応用することで、身近な野外フィールドでも行動研究が可能になると期待される。野外で活動するする大型猛禽類に発信機や記録機を装着する場合には捕獲が必要であるが、これまで効率よく捕獲する技術が未開発であった。
本研究では大型猛禽類の行動判別技術の開発を目的とし、行動データを取得するための装着型記録機の開発と野外に生息する猛禽類の捕獲システムの製作を実施した。
加速度センサーとGPSを搭載し、鳥の体から自動で落下して回収できる装着回収ユニットを開発して野外に生息する猛禽類に装着した。本ユニットは設定時間後に落下し、電波を発信して位置を知らせる。試験地は積雪の多い山岳森林地帯であったが、発信された電波をたどることで本ユニットは林内の雪中から回収され、電話通信エリア外におけるデジタルデータ回収手法としての有効性を確認した。さらに、従来の大型網を用いた捕獲方法に比べて、軽量・小型で可搬性に優れ、さらにマイナス20℃以下の寒冷条件でも遠隔操作で脚を固定して捕獲できるシステムを試作した。野外に設置して観察した結果、従来利用されるネット捕獲法に比べて誘引率が高かったため、鳥の警戒を低減できる捕獲法として本研究以外でも利用が期待される。今後は先日取得に成功した鳥個体の加速度、位置データをもとにして、猛禽類の行動を統計モデリングによって判別する手法の開発を予定する。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

K. Matsumoto, K. Tateyama, S. Takahashi, H. Enomoto, K. Ono, and K. Shimatani (2012) Distribution of Stellers sea-eagles and white-tailed eagles in relation to sea-ice distribution along the coast of Shiretoko Peninsula. Proceedings of the 27th international symposium on Okhotsk sea and sea ice: 98-100.

K. Matsumoto, N. Oka, D. Ochi, F. Muto, T. P. Satoh, and Y. Watanuki (2012) Foraging behavior and diet of Streaked Shearwaters (Calonectris leucomelas) rearing chicks at Mikura I. Ornithological Science 11: 9-19.

松本経(2012)知床半島沿岸域におけるオオワシ・オジロワシ分布と海氷分布の関係.「知床研究報告書」北見工業大学. 

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所

松本 経

北見工業大学