平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−128

専門分類

7

研究課題名

ミンククジラの系群識別に対する判別分析の適用に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 鯨類捕獲調査で採集したミンククジラには1つ以上の系群が含まれていることが遺伝学的な解析により示唆されており,これを,ミンククジラの外部形態の計測データに対して判別分析含めた多変量解析の手法を適用することにより,検討することを目的とする。


鯨類捕獲調査で収集されたミンククジラの外部形態の計測データに及ぼす変動因子の特定を行った。
その結果、次のような変動因子が考えられた。[1]調査年で計測者が異なり、計測箇所の一部は計測者間で差が生じていること。
[2]対象とした鯨種(ミンククジラ)は摂餌回遊と繁殖回遊を行い、摂餌海域では年間の生存エネルギーの大半を補うために大量の摂餌を行って体内に脂肪として蓄積し、摂餌期間におよそ1.3倍の体重増加が推定されている。
上記の調査はこの摂餌海域で採集されたミンククジラを対象として調査が行われており、外部形態の解析を行う上でも、これらミンククジラの肥満が外部形態にどの程度影響を及ぼすのかを明確にする必要があること。予備的な解析では背ビレ基底長が来遊初期に比べて後期で小さくなる傾向が認められており、これが肥満によるものなのか、系統群の違いによるものなのかを明らかにする必要が生じたこと。
[3]また、上記の回遊は性や性状態によって回遊する時期が異なっており、同時に検討されている摂餌海域での棲み分けの解析結果を本解析にも取り込む必要があることである。
現在の以上のような結果を受けて、判別分析に取り込むデータの特定と共にデータベース化の作業を進めており、作業が完了した後に、これまでに報告されている解析手法を用いて、上記の変動因子の影響度合を明確にし、本研究の目的としている系群識別への適用に進むこととしている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(研究内容)ミンククジラの外部形態の計測データを用い,遺伝学的情報,採集日及び採集海域等により分けたグループ(時空間グループ)の間の差異を検討する。解析するデータは成長に伴って変動しており,体サイズや成長による各計測部位の変動を考慮した解析が必要である。本研究では,体サイズ等の変動を考慮したBMDPパッケージを用いて,北太平洋及び南極海のミンククジラについて判別分析を適用し,海域内での時空間グループの比較を行い,判別分析の系群識別に対する有効性について検討する。また,種々の多変量解析の手法を適用し,このような外部形態データを用いる解析の方法論を確立する。
(共同研究の必要性)統計数理研究所には,判別分析を含めた多変量解析に関する情報資源が豊富であり,また利用する外部形態データについて統計数理研究所側の共同研究者も鯨類捕獲調査への協力を通じて知識があることから,共同研究によって研究の一層の発展が期待できる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 俊輔

(財)日本鯨類研究所

銭谷 亮子

(財)日本鯨類研究所

藤瀬 良弘

(財)日本鯨類研究所