平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−68

専門分類

7

研究課題名

地域健診結果判定のための方法論の開発

フリガナ

代表者氏名

イナバ ユタカ

稲葉 裕

ローマ字

所属機関

順天堂大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地域健診の検査結果と成人病(悪性新生物、虚血性心疾患、脳血管疾患、肝硬変、突然死)の発生データを用いて、要指導・要治療判定のための個人データの変動を指標とした新しい方法論を開発するとともに、従来の絶対値を基準とした方法との比較検討を行う。複数の検査法を組み合わせた基準の開発も行う。


コホート追跡初期の死亡例は調査開始時に既に生活習慣病に罹患していたことが推測されるので、全死亡例及び全がん死亡例とコホート開始1-2年の死亡例を除いた場合の結果を比較し、追跡初期死亡例の影響を検討した。食品摂取頻度に関する項目と食品の嗜好、飲酒喫煙習慣についてCOXの比例ハザードモデルを用いて全死亡及びがん死亡例のハザード比を求め、初期死亡例を除いた場合と比較した。
食品摂取に関しては全死亡では初期死亡例の影響が僅かに見られ、心疾患や脳血管疾患では食事指導が行われている可能性が高いと考えられた。がん死亡については特に変化は認められなかったなかったが、がんの部位別に検討する必要がある。
また、ベースラインデータのうち、生活習慣病の既往歴を有する人と既往歴のない人との比較も行った。食品摂取頻度について差の見られた食品を脳卒中、心疾患、がんの既往歴別に比較したところ、共通点は既往歴のある人にバター、コーヒーの摂取頻度、飲酒者が少ないことと食塩の制限をしている人が多いことであった。脳卒中や心疾患の既往のある人はその他に洋菓子、牛・豚の摂取頻度が低くヨーグルトや和菓子の摂取頻度が高く、カロリー制限の割合も高かった。生活習慣病の既往のある人は食塩や脂肪などの摂取を控えており、飲酒も減っていることから食事指導が行われていることが推察された。
これらの特徴は今後蓄積されたデータを用いて分析を行う際に参照されるものとなる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

黒沢美智子、稲葉 裕、菊地正悟、高木廣文、佐藤俊哉、縣 俊彦、コホート研究における
追跡初期死亡データの影響、第9回日本疫学会総会講演集、平成11年1月21日
黒沢美智子、稲葉裕、菊地正悟、高木廣文、縣俊彦、東山梨コホートのベースライ
ンデータにおける既往歴を有する人の特徴、第68回日本衛生学会総会講演集、平成
11年3月25日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

山梨県の2町村の昭和48年から平成8年までの健診データ、昭和57年から平成8年までの死亡、転出者データが入手可能である。また昭和58年から平成6年までの国民健康保険のレセプト調査と平成4年1月に実施された成人病罹患調査からある程度の罹患データも利用できる。これに平成元年の「健康と生活習慣調査」を加えて各データのレコードリンケージ作業も逐年行っている。今年度はレコードリンケージの終了したデータの一部を用いてどのような指標が地域健診に最も適しているかを比較検討する。かなり大量のデータを扱うことになり、複雑な指標を設定するため専門家との協力が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

縣 俊彦

東京慈恵会医科大学

菊地 正悟

順天堂大学

黒沢 美智子

順天堂大学

佐藤 俊哉

統計数理研究所

高木 廣文

統計数理研究所